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「津波てんでんこ」は三陸地方に伝わる言い回しで、津波のときの避難の考え方をひと言で表したものです。意味を知るだけなら1行で済みますが、実際にそのとおり行動できるかは別の話になります。この記事では、言葉の意味を確認したうえで、「各自で逃げる」を家族のあいだで成立させるために平時にやっておくことを整理します。
言葉の意味
まず解説から確認します。1
三陸地方で伝えられてきた言い回しです。その意味はこう説明されています。2
要点は3つに分けられます。
| 要素 | 意味 |
|---|---|
| 家族が一緒にいなくても気にせず | 探しに行かない、待たない |
| てんでばらばらに高所に逃げる | 各自がその場から最短で高い場所へ |
| まずは自分の命を守れ | 自分が助かることを最初に置く |
そして、これは過去の被害から引き出された教訓として位置づけられています。3
「冷たい教え」ではなく事前の取り決め
てんでんこは、家族を見捨てろという意味ではありません。「探しに戻らない」を各自が実行できるのは、お互いが逃げていると信じられる状態が平時に作られているときだけです。何も決めていない家族が本番でこれをやろうとしても、迎えに行くか行かないかで迷います。
家族が離れて被災する前提そのものは、内閣府も明記しています。45
つまり、てんでんこは当日の判断ではなく、平時の取り決めのほうに実体があります。以下の3つがそろって初めて成立します。
成立条件1: 各自が逃げる先を知っている
「高所に逃げる」の高所が具体的にどこかを、家族全員がそれぞれの生活圏で知っている必要があります。津波のときに逃げ込む先は、災害の種類ごとに指定されています。6
これが指定緊急避難場所です。生活後の滞在先とは別物になります。7
2つの違いは避難所と避難場所の違いに整理しました。津波の場面で必要なのは前者で、しかも「自宅の近く」だけでは足りません。8
自宅・学校・職場・通勤経路のそれぞれで逃げ先が違う、というのが実際のところです。場所の確認は地図で先に済ませられます。910
見方はハザードマップの見方にまとめています。家族それぞれの行動範囲で1回ずつ開いておくのが、てんでんこの下準備になります。
成立条件2: 落ち合う方法が電話以外にある
各自で逃げたあとは、無事を確かめる段階に移ります。ここで電話に頼る計画を立てると失敗します。11
遠くの親戚を中継点にする方法もあります。14
使い方は事前に試しておけます。15
具体的な操作は災害用伝言ダイヤル171の使い方、家族のルール作りは家族の安否確認ルールにまとめました。「無事なら伝言を残す」と決めておけば、返事がないことを理由に探しに戻る必要がなくなります。
成立条件3: 揺れた直後の数十秒を家族で共有する
津波の前に強い揺れがあります。そこで動けるかどうかが、その後の避難時間を左右します。1617
床がガラスだらけだと、逃げ出すこと自体に時間がかかります。20
枕元の靴は、てんでんこを実行するための道具でもあります。選び方は防災用の靴とスニーカー、家具の固定は家具転倒防止の突っ張り棒に整理しました。
逃げるときに手を空けておくため、持ち出す物はひとまとめにしておきます。
中身の考え方は防災リュックの中身にまとめています。
警報が出ているあいだは戻らない
避難したあと、家の様子を見に戻りたくなる場面があります。気象庁は津波警報が出ている状況での行動を明示しています。21
「解除されるまで」が基準です。揺れが収まった、波が来ない、といった自分の感覚で戻る判断をしない、という意味になります。てんでんこの「戻らない」は、避難したあとにも続きます。
南海トラフ地震臨時情報が出たときの段階的な対応は南海トラフ地震臨時情報にまとめました。事前避難が呼びかけられる場合もあります。22
子どもと高齢の家族がいる場合
てんでんこの前提は「各自が自力で高所へ動ける」ことです。そこに当てはまらない家族がいる場合、当日に誰が誰を助けに行くかを考えるのではなく、平時の段階で条件を変えておく発想になります。
- 子どもには、学校や通学路からの逃げ先を本人が言えるようにしておく。留守番中の行動は子どもの留守番中の地震に整理しました
- 高齢の家族には、避難のときに手助けが要ることを地域に登録しておく制度があります。避難行動要支援者名簿と個別避難計画にまとめています
- 家族で一度動いてみると、想定の穴が見つかります。方法は家族の防災訓練にまとめました
はぐれたときのために、居場所を知らせる手段を子どもに持たせておく方法もあります。
連絡先を書いた名札の作り方は子どもの迷子名札の書き方にまとめています。
まとめ
- 津波てんでんこは、家族が一緒にいなくても気にせず各自で高所に逃げ、まず自分の命を守るという意味
- 見捨てる教えではなく、「お互い逃げている」と信じられる状態を平時に作る取り決め
- 成立条件は、逃げ先の共有・電話以外の安否確認手段・揺れた直後に動ける準備の3つ
- 津波のときに向かうのは指定緊急避難場所。滞在先の指定避難所とは別物
- 逃げ先は自宅だけでなく、学校・職場・通勤経路のそれぞれで確認しておく
- 安否確認は災害用伝言サービスや遠方の親戚を中継点にする方法を決めておく
- 枕元の靴と家具固定は、逃げ出すまでの時間を短くするための準備
- 津波警報が出ているあいだは、解除されるまで安全な場所にとどまる
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
警視庁「津波てんでんこ」2026年8月17日確認
↩ 本文へ津波起きたら命てんでんこだ
警視庁「津波てんでんこ」2026年8月17日確認
↩ 本文へ津波が起きたら家族が一緒にいなくても気にせず、てんでばらばらに高所に逃げ、まずは自分の命を守れ
警視庁「津波てんでんこ」2026年8月17日確認
↩ 本文へこの教訓に基づき命を守る行動を取りましょう
内閣府「広報ぼうさい 特集 家族で防災」2026年8月15日確認
↩ 本文へ災害は、家族が揃っているときに発生するとは限りません。自宅、学校、職場、出張先等、家族が離れ離れの状態で被災する可能性があります
内閣府「広報ぼうさい 特集 家族で防災」2026年8月15日確認
↩ 本文へ災害が来てからでは遅い。日頃から、災害が起きた時にどのように行動するかを家族で決めておきましょう
内閣府「令和3年版 防災白書「指定緊急避難場所と指定避難所の確保」」2026年8月15日確認
↩ 本文へ津波や洪水等による危険が切迫した状況において、住民等の生命の安全の確保を目的として住民等が緊急に避難する施設又は場所
内閣府「令和3年版 防災白書「指定緊急避難場所と指定避難所の確保」」2026年8月15日確認
↩ 本文へ避難した住民等を災害の危険性がなくなるまで必要な期間滞在させ、又は災害により家に戻れなくなった住民等を一時的に滞在させることを目的とした施設
内閣府「広報ぼうさい 特集 家族で防災」2026年8月15日確認
↩ 本文へ日頃から、自宅、学校、職場の近くや、通勤通学途中にある避難場所を確認しておきましょう
国土交通省「ハザードマップポータルサイトを活用して災害に備えよう〜身のまわりの災害リスクや避難場所の確認が地図上で簡単にできます〜」2026年8月6日確認
↩ 本文へ洪水、内水氾濫、高潮、津波等による浸水想定区域と浸水深
国土交通省「ハザードマップポータルサイトを活用して災害に備えよう〜身のまわりの災害リスクや避難場所の確認が地図上で簡単にできます〜」2026年8月6日確認
↩ 本文へ災害から命を守るためには、身のまわりでどのような災害リスクがあるか、どこへどのようなルートで避難すればよいのかなどを事前に確認し、備えておくことが重要です
内閣府「広報ぼうさい 特集 家族で防災」2026年8月15日確認
↩ 本文へ地震などの災害発生時には、被災地への通話が集中し、個人の安否確認だけでなく、消防、警察への連絡などにも支障が起こります
総務省「総務省「非常時における通信の概要」」2026年7月24日確認
↩ 本文へ地震等の災害が発生した場合、通信が混み合って電話がつながりにくくなります。電気通信事業者各社では、こうした通信の混雑の影響を避けながら、家族や知人との間での安否の確認や避難場所の連絡等をスムーズに行うため、『災害用伝言サービス』を提供しています
総務省「総務省「非常時における通信の概要」」2026年7月24日確認
↩ 本文へ災害用伝言サービスには、171番に電話をかける『災害用伝言ダイヤル(171)』、携帯電話のネット接続機能を使った『災害用伝言板』、インターネットを使用する『災害用伝言板(web171)』があります
内閣府「広報ぼうさい 特集 家族で防災」2026年8月15日確認
↩ 本文へ離れた場所に住む家族や親戚、知人の家を連絡先に決め、そこを中継点にして家族の安否確認や連絡をとる方法です
内閣府「広報ぼうさい 特集 家族で防災」2026年8月15日確認
↩ 本文へこれらのサービスは、年に数回の体験利用期間が設けられていますので、是非実際に使ってみましょう
内閣府「広報ぼうさい 特集 家族で防災」2026年8月15日確認
↩ 本文へ緊急地震速報から強い揺れが到達するまでの猶予時間は、数秒から数十秒程度です
東京消防庁「地震 その時10のポイント」2026年8月15日確認
↩ 本文へ揺れを感じたり、緊急地震速報を受けた時は、身の安全を最優先に行動する
東京消防庁「地震 その時10のポイント」2026年8月15日確認
↩ 本文へ揺れがおさまった時に、避難ができるよう出口を確保する
東京消防庁「地震 その時10のポイント」2026年8月15日確認
↩ 本文へ屋内で転倒・落下した家具類や ガラスの破片などに注意する
内閣府「広報ぼうさい 特集 家族で防災」2026年8月15日確認
↩ 本文へ例えば、運動靴。割れた窓ガラスや食器が床一面に広がっていたら、素足ではとても歩けません
気象庁「「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたときの防災対応」2026年8月15日確認
↩ 本文へなお、既に発生した地震に伴う津波警報等が発表されている地域では、津波への防災行動を最優先とし、避難情報に留意するとともに警報が解除されるまで安全な場所にとどまり続けてください
気象庁「「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたときの防災対応」2026年8月15日確認
↩ 本文へ地震発生後の避難では間に合わない可能性のある住民は1週間の事前避難を行いましょう