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高潮は「大きな波が来ること」ではありません。海面の高さそのものが上がる現象です。ここを取り違えると、避難の判断を誤ります。
高潮は海面が持ち上がる現象
原因は2つあり、どちらも台風が持ち込みます。
吹き寄せ効果
風が海水を海岸へ押し寄せる効果です。2乗で効くので、風速が少し強まるだけで海面上昇は大きく変わります。1
地形も効きます。2
湾の奥にある街は、同じ台風でも危険度が上がるということです。
吸い上げ効果
中心気圧の数字がそのまま海面の高さに換算できる、という分かりやすい関係です。台風情報で気圧を見たら、その差のぶんだけ海面が上がっていると読めることになります。台風の勢力の見方は台風は上陸すると弱まるのかで扱いました。345
津波との違い
どちらも海から水が来ますが、原因も時間の性質も違います。
| 高潮 | 津波 | |
|---|---|---|
| 原因 | 台風などの風と気圧 | 地震などによる海底の変動 |
| 予測 | 台風の接近から事前に見込める | 発生してから到達まで時間が短い |
| 準備 | 数時間〜1日前から動ける | 揺れたら即座に高い所へ |
高潮は事前に備える時間があるというのが最大の違いです。逆に言えば、時間があったのに動かなかったという形で被害が出ます。津波側の考え方は津波てんでんこの意味にまとめています。
満潮と重ならなくても危ない
高潮というと「大潮の満潮と重なったとき」が語られますが、資料はそれだけではないと明記しています。67
小潮でも大きな被害が出た実例がある、ということです。潮位表を見て「今回は満潮とずれているから大丈夫」と判断するのは危険側の読み方になります。
季節の要素もあります。8
台風シーズンと平均潮位が最も高い時期が重なっている、という重なりの悪さです。
自分の家が浸かるかを先に調べる
高潮は事前に備えられる災害なので、確認は平時にできます。9
潮位も土地の標高も同じ基準で測られているので、自分の土地の標高と予想される潮位偏差を並べて比べられます。高潮のハザードマップは多くの沿岸自治体が公開しており、見方はハザードマップの見方に整理しました。地下は特に危険で、地下街の浸水対策も併せて確認しておくと判断が早くなります。
浸水する前にやること
高潮は避難のタイミングが早い災害です。道路が冠水してからでは移動そのものが危険になります。
- 台風の進路と中心気圧を確認する。湾の奥・沿岸の低地なら早めに動く
- 警戒レベルの意味を踏まえ、高齢者等避難の段階で沿岸から離れる
- 在宅で耐えるか出るかの判断は水害時に在宅避難できるかの基準で決める
- 前日にやることは台風前日にやることリストにまとめてある
車での避難は冠水に巻き込まれる危険があります。冠水した車からの脱出は車が水没したときの脱出方法を先に読んでおいてください。
避難を早く始めるには、持ち出す物が一つにまとまっている必要があります。
中身の考え方は非常用持ち出し袋の中身、一次と二次の分け方は一次持ち出しと二次持ち出しの分け方にまとめています。
まとめ
- 高潮は海面の高さそのものが上がる現象。原因は吹き寄せ効果と吸い上げ効果
- 吹き寄せによる海面上昇は風速の2乗に比例する。V字形の湾は奥ほど高くなる
- 吸い上げは気圧1 hPaにつき約1 cm。中心気圧950 hPaなら中心付近で約50 cm
- 津波と違い事前に備える時間がある。だからこそ早く動けるかで結果が変わる
- 満潮と重ならなくても危険。小潮でも大きな被害が出た実例がある
- 9月頃は1年で最も平均潮位が高い。台風シーズンと重なる
- 潮位も標高も東京湾平均海面が基準。ハザードマップで自宅の位置を先に確認する
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
気象庁「台風に伴う高潮」2026年8月18日確認
↩ 本文へこの場合、吹き寄せによる海面上昇は風速の2乗に比例し、風速が2倍になれば海面上昇は4倍になります。
気象庁2026年8月18日確認
↩ 本文へ特にV字形の湾の場合は奥ほど狭まる地形が海面上昇を助長させるように働き、湾の奥ほど海面が高くなります。
気象庁2026年8月18日確認
↩ 本文へまた、台風が接近して気圧が低くなると海面が持ち上がります。
気象庁2026年8月18日確認
↩ 本文へ外洋では気圧が1 hPa低いと海面は約1 cm上昇します。
気象庁2026年8月18日確認
↩ 本文へ例えばそれまで1000 hPaだったところへ中心気圧が950 hPaの台風が来れば、台風の中心付近では海面は約50 cm高くなり、そのまわりでも気圧に応じて海面は高くなります。
気象庁2026年8月18日確認
↩ 本文へ台風の接近が満潮時と重ならないからといって安心はできません。
気象庁2026年8月18日確認
↩ 本文へ実際に、平成30年台風第21号が大阪府などに顕著な高潮をもたらした時期は小潮でしたが、関西国際空港が浸水する等、大きな被害が発生しました。
気象庁2026年8月18日確認
↩ 本文へ9月頃は海水温が高くなるなどの影響で、1年を通じて最も平均潮位が高くなる時期であることも台風に伴う高潮災害を考える上で見逃してはいけません。
気象庁2026年8月18日確認
↩ 本文へなお、潮位は東京湾平均海面を基準面として表します。