本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれています。
平日の昼間に大きな地震が起きたとき、家族は同じ場所にいません。親は職場、子どもは学校、祖父母は自宅。この状態から合流するためのルールを、事前に決めておく話です。
多くの家庭では「災害が起きたら家に集まろう」で止まっています。ただ、この決め方には抜けがあります。全員が同時に自宅を目指すと、道路上で合流できないまま渋滞に巻き込まれるからです。
東京都は帰宅困難者対策について「大地震が発生した後、およそ72時間は、救命救助活動を通じて1人でも多くの命を救うことが最優先となります。そのためには、帰宅困難者の一斉帰宅を抑制し、大渋滞により救急車等が到着できないといった状況を防止することが重要です。」と説明しています(東京都防災ホームページ「一時滞在施設などの情報」)。
つまり家族のルールは「どこに集まるか」より先に「いつ動きはじめるか」を決める必要があります。
決めるのは3つだけ
紙1枚に収まる量にしないと運用できません。決めるのは次の3つです。
- 安否を伝える手段(1つに固定する)
- 移動を始める条件(時刻か、情報か)
- 集合場所(自宅・近所・広域の3段階)
順に見ていきます。
1. 安否を伝える手段は1つに固定する
「LINEでも電話でもメールでも」と決めると、災害時に全員が別々の手段を試して行き違います。第一手段を1つに決め、それが使えないときの第二手段を1つだけ決めます。
総務省は「災害用伝言サービスには、171番に電話をかける『災害用伝言ダイヤル(171)』、携帯電話のネット接続機能を使った『災害用伝言板』、インターネットを使用する『災害用伝言板(web171)』があります」と整理しています(総務省「非常時における通信の概要」)。
第一手段をメッセージアプリ、第二手段を171にしておくのが扱いやすい組み合わせです。171は電話番号を「鍵」にして伝言を出し入れする仕組みなので、どの番号を鍵にするかを家族で1つに決めておく必要があります。自宅の固定電話番号か、親のうち1人の携帯番号を鍵に固定します。操作手順は災害用伝言ダイヤル171の使い方にまとめています。
伝えることも決めておくと迷いません。「無事」「今いる場所」「次にどこへ向かうか」の3つで十分です。
遠方の親族を中継点にする
被災地の中だけで連絡を回そうとすると、地域まるごと通信が詰まったときに手がなくなります。被災地から離れた親族を1人決めて、全員がそこへ連絡を入れる形にすると、その人が集約役になります。
2. 移動を始める条件を決める
ここが抜けがちな部分です。安否が確認できても、すぐに動くとは限りません。
職場にいる大人は、その場にとどまる前提で考えます。東京都帰宅困難者対策条例では、第七条第1項で事業者は従業者が一斉に帰宅することの抑制に努めなければならないとされており、第七条第2項で従業者の三日分の飲料水、食糧その他災害時における必要な物資を備蓄するよう努めなければならないとされています(東京都帰宅困難者対策条例)。
家族のルールとしては、次のように条件を書き出しておきます。
- 子どもの引き取りが必要:学校・園の引き取りルールに従う人を1人決める
- それ以外の大人:安全が確認できるまで職場・一時滞在施設にとどまる
- 移動開始の目安:交通・道路の状況が公的情報で確認できてから
一時滞在施設は事前に場所が公表されていないこともあります。東京都は「大地震が発生した際には、受入可能となった一時滞在施設の情報を、東京都や各区市町村、駅前滞留者対策協議会等から速やかに発信します。ただし、事前に情報を公表している施設についても、施設の被害状況により、帰宅困難者の受入れができない場合があります。発災時には、一時滞在施設の開設に関する情報が発信されてから行動してください。」としています(東京都防災ホームページ「一時滞在施設などの情報」)。施設の使い方は一時滞在施設の使い方で扱っています。
徒歩帰宅を選ぶ場合の装備と判断は徒歩帰宅の準備にまとめました。
3. 集合場所は3段階で決める
1箇所だけ決めると、そこが使えなかったときに詰みます。3段階にします。
| 段階 | 場所 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 第1 | 自宅 | 建物が無事で、全員が戻れる |
| 第2 | 自宅から徒歩数分の一時集合場所 | 自宅に戻れない・火災の危険がある |
| 第3 | 指定の避難場所 | 地域一帯が危険な状態 |
第2段階は「近所の公園の時計の下」のように、建物ではない目印にします。建物は倒壊や立ち入り禁止で使えなくなることがあるためです。第3段階の場所は自治体が指定しているので、ハザードマップの見方で自宅周辺の指定先を確認しておきます。
そして各段階に「何時に行くか」を添えます。「毎日朝9時と夕方5時に第2集合場所へ行き、10分待って誰もいなければ戻る」のように時刻を決めておくと、通信が使えなくても合流できます。
ルールを持ち歩ける形にする
決めたら、家族全員が同じものを持ちます。
- 紙1枚に印刷して、財布・鞄・ランドセルに入れる
- スマホの写真フォルダにも入れる(充電が切れる前提で紙は必須)
子どもに持たせる場合は、子どもの迷子名札の書き方と同じカードにまとめてしまうと管理が楽です。
情報を受け取る手段も1つ確保する
移動開始の判断は、公的情報が取れることが前提です。総務省関東総合通信局は「Lアラートにより自治体等が発した情報がテレビ・ラジオ・携帯電話・ポータルサイト等の様々なメディアを通じて住民に届く仕組みがある」と説明しています(総務省関東総合通信局「災害時に活用できる情報伝達手段」)。
スマホが充電切れになると、この経路が全部止まります。電池で動くラジオを1台、家族の共有装備として置いておくと判断材料が途切れません。
スマホ側の電源も、安否連絡を続けるうえでは切らせたくないところです。
決めたルールは1度使ってみる
ルールは書いた時点では機能しません。災害用伝言ダイヤルには体験利用ができる期間が設けられているので、その期間に家族で一度録音と再生をやってみると、鍵にする番号の共有漏れがその場で分かります。体験利用日は提供事業者の案内を確認してください。