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建物の安全は自分では判定できない
先に線引きをします。建物そのものが住み続けられる状態かどうかは、自分では判定できません。地震後には自治体が応急危険度判定を行い、建物に「調査済(緑)」「要注意(黄)」「危険(赤)」の紙が貼られます。判定結果が出ている場合は、その指示に従ってください。
この記事で扱うのは、判定を待つ間や、判定の対象にならない範囲で自分で確認できることです。具体的には次の3つになります。
- 入ってよいかの直感的な危険サイン(明らかに傾いている、柱や壁に大きな亀裂がある)
- 火災につながる要因(電気・ガス・裸火)
- 屋内で動くときのけがの要因(ガラス片、落ちてくるもの)
明らかな異常があるときは無理に入らず、自治体や消防に相談してください。
入る前に外から見る4点
近づく前に、離れた位置から次を確認します。
- 建物が傾いていないか: 電柱や隣の建物と垂直方向を見比べる
- 基礎や外壁に大きな亀裂がないか: ひび割れの幅と、そこから内部が見えるか
- 屋根瓦・外壁材・看板が落ちかけていないか: 頭上の落下物が最も危険
- 周囲に倒れかけたブロック塀・電線がないか: 垂れ下がった電線には触れない
ひとつでも当てはまるなら、入らずに判定を待つのが正解です。中の荷物より自分の身が優先されます。
避難時と同じく、頭と足元の保護は屋内に入るときも必要です。1
入ってすぐ確認する:火の元と臭い
屋内に入ったら、荷物より先に火災の要因を確認します。消防白書は、大震災における出火原因についてこう書いています。2
つまり確認の中心は電気です。順番は次のとおりです。
- ガスの臭いがしないか: 臭いがあれば火気を使わず、電気のスイッチにも触れず、窓を開けて退出してからガス事業者へ連絡する
- ブレーカーの状態: 落ちている場合、すぐ上げない。先に3と4を確認する
- 家電のコードと差込口: 家具の下敷きになっていないか、コードが傷んでいないか、水をかぶっていないか
- ストーブ・こんろの周囲: 上に落下物が載っていないか、可燃物が近くにないか
3と4を確認しないままブレーカーを戻すと、傷んだ配線や倒れた家電に通電することになります。これが通電火災です。
停電中の明かりは裸火を使わない
停電したまま自宅を確認する場合、ろうそくやマッチを使いたくなりますが、消防研究センターは次のように注意を促しています。3
散乱した室内は平常時と可燃物の位置が違います。明かりは電池式に統一してください。両手が空くヘッドライトなら、片づけながら確認できます。
屋内を見て回るときのチェック項目
安全が確認できたら、部屋ごとに次を見ます。
足元と頭上
- 割れたガラス・食器が床に散っていないか
- 天井の照明器具、額縁、時計が落ちかけていないか
- 上の棚に載ったものが前にせり出していないか
家具・家電
- 倒れた家具の下に人やペットがいないか
- 固定していた金具が外れていないか(次の揺れで倒れる)
- 冷蔵庫・テレビが動いていないか
水まわり
- 天井や壁に水漏れの跡がないか(上階からの漏水)
- 蛇口を開けて水が出るか、濁っていないか
- 排水が流れるか(下水管が壊れていると、流すと逆流することがある)
排水が確認できないうちは、トイレに水を流さないでください。マンションでは階下に影響が出ます。
次の揺れへの備え
余震で同じ家具が倒れます。固定が外れているものは、片づけと同時に留め直してください。4
片づける前に写真を撮る
見落としやすいのがこれです。片づけてしまうと、被害の記録が残りません。り災証明書の申請では被害の状況が判断材料になります。京都市は撮り方をこう案内しています。5
同市は、り災証明書の使いどころについても書いています。6
スマートフォンで構いません。全景4面 → 被害箇所の順で撮り、片づけはその後にしてください。
そのまま在宅避難するかを決める
確認の結果、住み続けられそうなら在宅避難に切り替えます。判断材料は建物だけではありません。
- 水: 断水しているか、給水拠点まで行けるか
- トイレ: 排水が使えるか、簡易トイレの備えがあるか
- 明かりと情報: 電池とラジオがあるか
- 体調: 高齢者・乳幼児・持病のある家族がいるか
このどれかが厳しいなら、建物が無事でも避難所を選ぶ判断はあり得ます。
確認作業に要る道具
停電した屋内での確認は、明かりがないと始まりません。手に持つタイプだと片づけができないため、頭に着けられるものを1つ用意しておいてください。
両手が空くと、家具を起こしながら足元を照らせます。裸火を使わずに済ませるための最初の1つです。
部屋全体を照らす明かりも別に用意しておくと、片づけの効率が変わります。
乾電池式は充電の心配がないぶん、停電が長引く局面で扱いやすくなります。
まとめ
- 建物が住み続けられるかは自分では判定できない。応急危険度判定の結果に従う
- 入る前に外から4点(傾き・亀裂・落下物・周囲)を見る。ひとつでも当てはまれば入らない
- 屋内では荷物より先に火の元を確認する。大震災の火災は原因特定分の過半数が電気に起因(消防庁)
- ブレーカーを戻す前に、コードと家電の状態を確認する
- 停電中の明かりに裸火は使わない(消防研究センター)
- 片づける前に全景4面と被害箇所の写真を撮る。撮影日が分かるようにする
地震後の備え直しは地震のあとに見直す備えのチェックリストにまとめています。
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
千葉県「避難のときの注意点」2026年9月1日確認
↩ 本文へヘルメットや帽子で頭を保護
靴はスニーカー(長靴は水が入ると動きにくいので避ける)
総務省消防庁「令和2年版 消防白書 【コラム】地震火災対策について」2026年8月2日確認
↩ 本文へ平成23年3月11日に発生した東日本大震災における本震による火災では、原因の特定されたもののうち過半数が電気に起因したものであった
避難するときはブレーカーを落とす
消防研究センター(総務省消防庁)「地震後の火災防止について(注意喚起)」2026年8月6日確認
↩ 本文へ明かりや暖をとる目的で、屋内でろうそくなどの裸火は極力使用しないでください
地震で物が散乱し、平常時には無い場所に燃えやすいものがあるなど、屋内はいつにも増して裸火から着火しやすい状況にあります
東京消防庁「自宅の家具転対策」2026年8月3日確認
↩ 本文へテレビは重心が高く、テレビ台ごと転倒することがあります。テレビ台も壁や床などに固定しましょう
京都市「京都市防災ポータルサイト「り災証明書・被災証明書について」」2026年8月2日確認
↩ 本文へ建物の全景写真(周囲4面)を撮ります
被害を受けた部位について、その内容が明らかになるよう写真を撮ります
写真の撮影日がわかるように撮影してください
京都市「京都市防災ポータルサイト「り災証明書・被災証明書について」」2026年8月2日確認
↩ 本文へ公的な被災者支援制度などを利用する際に、必要となる場合があります