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水が出たから流していい、にはならない
マンションで断水が復旧すると、トイレも使えるようになったと考えがちです。ここが分かれ目で、上水と排水は別系統です。水が出ることは、排水管が無事であることを何も保証しません。1
被害が出るのは自分の住戸ではなく、下の階です。自分の部屋で異常が見えないことは、判断材料になりません。2
待つ基準
都が示しているのは「点検前に流すことの危険」と「使用制限が出ている間は控える」という2点です。34
つまり判断の主体は個々の住戸ではありません。建物として点検が済むまで待つのが基準です。具体的には次の順で進みます。
| 段階 | 誰が | 何を |
|---|---|---|
| 1 | 住戸 | 発災直後は流さない。携帯トイレに切り替える |
| 2 | 管理組合・管理会社 | 専門業者による排水管の点検を手配する |
| 3 | 業者 | 縦管・横引き管の破損、詰まり、漏れを確認 |
| 4 | 管理組合 | 結果を全戸に周知。使用再開の可否を出す |
| 5 | 住戸 | 周知を受けてから再開する |
段階4の周知が出るまでは、水が出ていても流しません。工程には時間がかかるため、この期間を携帯トイレで持ちこたえられるかが備蓄量の基準になります。
どれくらいの量を見込むか
点検と復旧の期間は建物の被害状況によりますが、在宅避難を続ける前提なら1週間分を目安に置きます。56
マンションの場合、3日分では点検の完了を待ちきれない可能性があります。戸建てより優先度を上げて、1週間分から数えるのが現実的です。
便器が使える状態なら袋だけで足りますが、便器側にも被害がある場合に備えて座れる形を1つ持っておくと切り替えられます。
断水の側も仕組みを知っておく
停電が続くと、タンクの水を使い切った時点で断水します。逆に、停電から復旧すればポンプが動いて水は戻ります。水が戻った=建物が無事、ではない理由がここにもあります。
平常時にやっておくこと
在宅避難を成り立たせるには、住戸側と建物側の両方の準備が要ります。910
管理組合に確認しておくと役に立つのは次の3点です。
- 発災時、排水管の点検を誰がどう手配する取り決めになっているか
- 使用再開の周知は、どの手段で行われるか(掲示・館内放送・アプリなど)
- 共用部に携帯トイレの備蓄があるか。あるなら何回分か
取り決めが無い場合、点検の手配から始まるため再開までの時間が延びます。総会や防災訓練の場で挙げておく価値のある論点です。
まとめ
- 上水と排水は別系統。水が出ても排水管の無事は保証されない
- 被害が出るのは下の階。自分の部屋で異常が無いことは判断材料にならない
- 判断の主体は住戸ではなく建物。管理組合の周知を待つ
- 備蓄は3日分では足りない可能性がある。1週間分から数える
- 点検の手配と周知の方法を、平常時に管理組合へ確認しておく
集合住宅全般の備えはマンションの防災対策、必要数の考え方は携帯トイレは何個必要か、便器が使えない場合は便器が使えないときのトイレ代用、バケツで流す判断は断水時にトイレをバケツで流す方法を参照してください。
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
東京都「マンション防災」2026年8月6日確認
↩ 本文へ排水管の損傷に気付かずにトイレを使用すると、下の階で汚水があふれ出るおそれがあります
東京都下水道局「災害時のトイレ対策について」2026年8月6日確認
↩ 本文へ特に集合住宅の場合は、下の階のお宅へ汚水が逆流する場合があります
東京都「マンション防災」2026年8月6日確認
↩ 本文へマンションでの在宅避難で気を付けたいポイントの一つに『トイレは流さない』があります
東京都下水道局「災害時のトイレ対策について」2026年8月6日確認
↩ 本文へ大震災発生後に下水道の使用制限が実施されている地域においては、使用を控えるようお願いします
東京都「もしもの時に困らないトイレの備蓄」2026年8月6日確認
↩ 本文へ1日5個×3日分×家族の人数=最低限の備蓄目安
東京都「もしもの時に困らないトイレの備蓄」2026年8月6日確認
↩ 本文へ1週間分の備蓄がおすすめです
大阪市水道局「停電によるビル・マンション等の断水に備えましょう」2026年8月6日確認
↩ 本文へいったん受水槽に貯水し、揚水ポンプを用いて高置水槽に水を送ったのち、蛇口まで水道水をお届けする方法です
大阪市水道局「停電によるビル・マンション等の断水に備えましょう」2026年8月6日確認
↩ 本文へ受水槽方式では、停電時でも高置水槽内に水がある間は断水しませんが、高置水槽内の水がなくなると断水になります
東京都「マンション防災」リーフレット2026年9月1日確認
↩ 本文へ耐震基準を満たしたマンション等は、被害が軽微であれば在宅避難が可能となる
東京都「マンション防災」リーフレット2026年9月1日確認
↩ 本文へ在宅避難を継続するためには、各家庭とマンション全体での備えが必要