福祉避難所とは|対象になる人と、直接行けるとは限らない理由
根拠: 内閣府(防災担当)「福祉避難所の確保・運営ガイドライン(平成28年4月、令和3年5月改定)」(2026年8月15日確認) ほか3件(記事末に一覧)
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高齢の親や障害のある家族がいると、一般の避難所で数日過ごす姿が想像しにくくなります。その受け皿として用意されているのが福祉避難所です。ただし「行けば入れる場所」ではありません。
対象になるのは「要配慮者」
まず誰のための場所かが定義されています。
- 内閣府(防災担当)「福祉避難所の確保・運営ガイドライン(平成28年4月、令和3年5月改定)」(「福祉避難所の受入対象者として想定されているのは、法律上「要配慮者」ということになる」)
具体的な例も挙げられています。1
理由も明記されています。2
「歩けるかどうか」だけの線引きではなく、一般の避難所で生活が成り立つかどうかが基準になっています。
一般の避難所と制度上どう分かれているか
令和3年の改定で、指定のしかたが整理されました。
- 内閣府(防災担当)「福祉避難所の確保・運営ガイドライン(平成28年4月、令和3年5月改定)」(「災害対策基本法施行令第20条の6第1号から第4号までに定める基準にのみ適合する施設を「指定一般避難所」、同条第1号から第5号までに定める基準に適合する施設を「指定福祉避難所」として公示することとした」)
さらに、その中間にあたる形も想定されています。3
つまり選択肢は2つではなく3つです。指定福祉避難所、一般の避難所の中の要配慮者スペース、そして自宅です。
| 場所 | 位置づけ |
|---|---|
| 指定福祉避難所 | 施行令の基準に適合し公示された施設 |
| 一般の避難所の要配慮者スペース | 基準は満たさないが何らかの配慮がされたスペース |
| 自宅(在宅避難) | 建物が無事なら継続する選択肢 |
数の実態を知っておく
箇所数も公表されています。4
指定避難所全体に対して、福祉避難所は限られた数です。近所にあるとは限らないという前提で考えたほうが、判断を誤りません。
事前の手続きとつながっている
福祉避難所の話は、単独では動きません。市町村側には名簿の作成義務があります。5
一人ひとりの計画も制度化されています。6
条文上の位置づけは取組指針に示されています。7
どこへ避難するかは、この個別避難計画のなかで決めていく形になります。当日いきなり福祉避難所へ向かう動き方は想定されていません。名簿と計画の手続きは避難行動要支援者名簿と個別避難計画にまとめています。
ガイドラインも、平時の準備が前提だと述べています。8
家族側でやることは、住んでいる市町村の窓口(福祉部門または防災部門)に、対象になるか・名簿に載っているか・個別避難計画があるかを確認することです。
待っている間の備えは自宅に置く
計画があっても、受け入れ体制が整うまでには時間がかかります。その間をどこで過ごすかというと、多くの場合は自宅です。
一般の避難所側でも、居住環境の確保は課題として指針に書かれています。9
自宅で過ごす場合、最初に詰まるのはトイレです。介助が要る場合、しゃがむ姿勢を取らずに使える形が必要になります。
自宅の便器がそのまま使えるなら、袋と凝固剤だけで回せます。回数が多くなる分、多めに用意しておくほうが安心です。
介助が必要な場合の使い方は簡易トイレの高齢者介助、車いすの場合は車いす対応トイレの備えで扱っています。
薬の備えも並行して必要です。持病の薬は何日分備えるか、離れて暮らす親の備えは高齢の親の防災、介護が必要な場合は介護と防災の備えにまとめました。避難所そのものの分類は避難所と避難場所の違いを参照してください。
まとめ
- 福祉避難所の対象は法律上の「要配慮者」。妊産婦・傷病者・内部障害者・難病患者・医療的ケアを必要とする者等が想定される
- 令和3年の改定で「指定一般避難所」と「指定福祉避難所」が公示上分けられた
- 一般の避難所の中に要配慮者スペースを設ける形もあり、選択肢は1つではない
- 令和元年10月1日時点で指定避難所78,243箇所に対し福祉避難所は8,683箇所。近所にあるとは限らない
- 避難先は個別避難計画のなかで決める。当日いきなり向かう動き方は想定されていない
- 体制が整うまでの時間は自宅で過ごす前提。トイレと薬を先に用意しておく
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
内閣府(防災担当)「福祉避難所の確保・運営ガイドライン(平成28年4月、令和3年5月改定)」2026年8月15日確認
↩ 本文へ妊産婦、傷病者、内部障害者、難病患者、医療的ケアを必要とする者等が想定される
内閣府(防災担当)「福祉避難所の確保・運営ガイドライン(平成28年4月、令和3年5月改定)」2026年8月15日確認
↩ 本文へこれらの人々は、一般的な避難所では生活に支障が想定されるため、福祉避難所を設置し、受け入れ、何らかの特別な配慮をする必要がある
内閣府(防災担当)「福祉避難所の確保・運営ガイドライン(平成28年4月、令和3年5月改定)」2026年8月15日確認
↩ 本文へ指定福祉避難所の基準は満たしていないが、要配慮者のために何らかの配慮がされているスペースとして、一般の避難所における要配慮者スペースがある
内閣府(防災担当)「福祉避難所の確保・運営ガイドライン(平成28年4月、令和3年5月改定)」2026年8月15日確認
↩ 本文へ令和元年10月1日時点において、全国の指定避難所は78,243箇所、うち福祉避難所は8,683箇所、協定等により確保しているものを含めた福祉避難所は22,078箇所
内閣府「避難行動要支援者名簿・個別避難計画」2026年7月24日確認
↩ 本文へ市町村は、自ら避難することが困難な避難行動要支援者の名簿を作成することが災害対策基本法により義務化されている
内閣府「避難行動要支援者名簿・個別避難計画」2026年7月24日確認
↩ 本文へ個別避難計画の作成は、令和3年の法改正により市町村の努力義務となった
内閣府(防災担当)「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」2026年7月24日確認
↩ 本文へ災害対策基本法第49条の10は、市町村長に対し、自ら避難することが困難な要配慮者について避難行動要支援者名簿の作成を義務付けている
内閣府(防災担当)「福祉避難所の確保・運営ガイドライン(平成28年4月、令和3年5月改定)」2026年8月15日確認
↩ 本文へ平時の取組みなくして災害時の緊急対応を行うことは不可能であるとの認識に立ち、福祉避難所についても、市町村を中心として、平時から取組みを進めていただきたい
内閣府(防災担当)「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針(令和6年12月改定)」2026年8月9日確認
↩ 本文へ床に長期に横たわっていると、エコノミークラス症候群を引き起こすだけでなく、埃等を吸い込むことによる健康被害も心配されるため、ベッドの設置が望ましいこと