高齢者に簡易トイレを使ってもらう手順|介助する側が先に決めること
根拠: 内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン(令和6年12月改定)」(2026年7月24日確認) ほか4件(記事末に一覧)
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先に決めるのは商品ではなく姿勢
介助が必要な家族がいる家庭で簡易トイレを用意するとき、商品から選ぶと合わないことがあります。決め手になるのは本人がどこまで自力で動けるかで、ここが分かれば必要な形は絞れます。
| 本人の状態 | 必要な形 | 介助側の準備 |
|---|---|---|
| 自力で立ち座りできる | 便座の高さがある自立型 | 手すり代わりに掴めるものを横に置く |
| 立ち座りに支えが要る | 耐荷重が明記された自立型 | 正面から支える位置を確保する |
| 立てない・座位が保てない | 寝たまま使える吸収用品との併用 | 交換の手順と処理袋を先に決める |
多くの家庭で見落とされるのが2列目です。段ボール製の簡易トイレは軽くて備蓄しやすい一方、支えながら座る動作には向きません。体重を預ける前提なら、耐荷重が明記されたものを選びます。
高さを合わせる
普段のトイレより低い簡易トイレは、立ち上がりの負担が大きくなります。介助側の腰にも負担が来ます。
- 普段使っている便座の高さを測っておく
- 簡易トイレの座面がそれより低ければ、クッションや座面の厚みで調整する
- 足が床に着かないと踏ん張れないため、高すぎるのも避ける
段ボール型を選ぶ場合でも、高さと耐荷重の数値だけは先に確認しておきます。
回数から必要数を出す
国は避難所のトイレ計画で、使用回数の目安を示しています。1
自治体も同じ回数を挙げています。2
ただし、介助が必要な家族がいる場合は5回で足りないことがあります。理由は2つです。
- 失敗を見込む: 姿勢が安定しないと、袋の取り替えが1回で済まないことがある
- 夜間の回数: 移動に時間がかかるぶん、間に合わずに取り替えになる場合がある
多めに見て1人あたり1日7〜8個で数えておくと、途中で足りなくなる事態を避けられます。
水分を控えさせない
トイレの回数を減らそうとして水分を控えるのは、高齢の家族では特に避けたい方向です。34
同じ資料は、摂取量について次のように案内しています。5
持病があって水分量に指示が出ている場合は、その指示が優先です。簡易トイレを十分に用意しておくことは、「我慢させない」ための準備でもあります。
用意しておくもの
本体だけでは手順が回りません。介助を前提にすると、次が要ります。
- 凝固剤と処理袋: 交換のたびに使う。回数分より多めに
- 防臭袋と蓋つき容器: 室内に置く時間が長くなるため
- 使い捨て手袋とウェットティッシュ: 介助側の手指と、本人の清拭用
- 目隠し: 居室で使う場合、視線を切れると本人の抵抗が減る
- 手元の明かり: 夜間の介助で両手が塞がるため、頭に付ける形が扱いやすい
座面の高さを足したいときは、踏み台やステップ形状のものを組み合わせる方法もあります。
平常時に一度やってみる
本番で初めて組み立てると、介助する側もされる側も手順で詰まります。6
確認するのは次の4点です。
- 組み立てに何分かかるか。介助しながらでも間に合うか
- 居室のどこに置くか。移動距離を最短にできる場所はどこか
- 支える位置。正面か、横か
- 使用後の袋をどこに置くか
個別避難計画も確認しておく
自力での避難が難しい家族がいる場合、行政側にも仕組みがあります。78
名簿への登録状況と、個別避難計画があるかどうかは、市町村の窓口で確認できます。在宅避難を続ける前提でも、支援の入口を知っておく価値があります。
まとめ
- 商品より先に、本人が立てるか・座れるか・支えが要るかで3通りに分ける
- 体重を預ける前提なら、耐荷重が明記されたものを選ぶ
- 普段の便座の高さを測っておき、座面の高さを合わせる
- 回数目安は1日5回だが、介助がある場合は7〜8個で数える
- 水分を控えさせない。持病の指示がある場合はその指示が優先
必要数の考え方は携帯トイレは何個必要か、種類の違いは携帯トイレと簡易トイレの違い、介護が必要な家族全般の備えは介護が必要な家族の防災、高齢の親の備えは高齢の親の防災を参照してください。
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」2026年7月24日確認
↩ 本文へトイレの平均的な使用回数は1日5回
神奈川県「携帯トイレを備蓄しましょう」2026年8月3日確認
↩ 本文へ1日の排泄の平均回数は1人5回と言われています。携帯トイレは最低3日分、可能であれば7日分を備蓄しましょう
環境省「高齢者のための熱中症対策」2026年8月6日確認
↩ 本文へ高齢者は若年者よりも体内の水分量が少ない上、体の老廃物を排出する際にたくさんの尿を必要とします
環境省「高齢者のための熱中症対策」2026年8月6日確認
↩ 本文へ加齢により、暑さやのどの渇きに対する感覚が鈍くなります
環境省「高齢者のための熱中症対策」2026年8月6日確認
↩ 本文へのどが渇いていなくてもこまめに水分・塩分を補給しましょう
1日あたり1.2L(リットル)を目安に
水分や塩分の摂取量はかかりつけ医の指示に従いましょう
東京都「東京くらし防災(38ページ)」2026年8月3日確認
↩ 本文へ買って置いておくだけでなく、実際に使ってみましょう
内閣府「避難行動要支援者名簿・個別避難計画」2026年7月24日確認
↩ 本文へ市町村は、自ら避難することが困難な避難行動要支援者の名簿を作成することが災害対策基本法により義務化されている
内閣府「避難行動要支援者名簿・個別避難計画」2026年7月24日確認
↩ 本文へ個別避難計画の作成は、令和3年の法改正により市町村の努力義務となった