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送るより先に「決めておくこと」がある
離れて暮らす親の防災というと、防災セットを送って終わりにしがちです。しかし高齢の親にとって本当に困るのは、薬が切れること・自力で避難できないこと・連絡がつかないことで、これらは物を送るだけでは解決しません。順番に整理します。
1. 薬とお薬手帳を持ち出せる状態にする
東京都は体力・体調に不安がある人の備えとして、具体的な日数を示しています。1
これは国の基準ではなく東京都の案内ですが、日数の目安として具体的です。同資料は「常に携帯する物」として「常備薬・お薬手帳/老眼鏡・入れ歯・補聴器/口腔ケア用品/健康保険証のコピー・介護保険証のコピー」を挙げています。老眼鏡や補聴器は、代わりが効かないという点で薬と同じ扱いが要ります。
通院している場合は、東京都が「もしものときにどんな対応を取ればよいかを必ず相談しておきましょう」としているとおり、かかりつけ医に事前確認しておくのが確実です。日数の決め方と手帳の持ち出し方は持病の薬は何日分備えるかにまとめています。
2. 自治体の名簿に載っているか確認する
自力で避難することが難しい人については、市町村が名簿を作ることが災害対策基本法で定められています。
- 内閣府「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」(PDF)(災害対策基本法第49条の10「市町村長は、当該市町村に居住する要配慮者のうち、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者(中略)の把握に努める(中略)名簿(中略)を作成しておかなければならない。」)
さらに令和3年の法改正で、一人ひとりの「個別避難計画」を作ることが市町村の努力義務になりました。同指針は計画作成の優先度を判断する際に「独居等の居住実態、社会的孤立の状況」を考慮するとしています。一人暮らしの親は優先度が高く判断されうるということです。
親の住む自治体の窓口(防災担当・福祉担当)に、名簿への登録状況と個別避難計画の有無を問い合わせるところから始めてください。これは物を買うより先にやる価値のある手続きです。申請前に家族が知っておくべき点は避難行動要支援者名簿と個別避難計画で整理しています。
3. 連絡手段を1つに頼らない
災害時は電話がつながりにくくなります。総務省は「地震等の災害が発生した場合、通信が混み合って電話がつながりにくくなります」とし、その対策として災害用伝言ダイヤル(171)、災害用伝言板、web171を案内しています。
親と決めておくべきなのは、どのサービスを使うかを1つに絞ることです。複数の手段を教えると、いざというとき迷います。「つながらなかったら171に伝言を入れる」と決めて、平時に一度一緒に試しておくのが確実です。録音・再生の手順と、事前に決めておくことは災害用伝言ダイヤル171の使い方にまとめています。
4. 停電と暑さ・寒さを想定する
高齢者は暑さのリスクが高いことを環境省が説明しています。2
夏の停電でエアコンが止まる状況は、高齢の親にとって深刻です。内閣府も在宅避難者への支援について「夏季であれば高温や熱中症への対策、冬季であれば暖を得るための物資を配布する等低温への注意が必要である」としています。飲料水の備蓄は、この観点でも多めに見ておく価値があります。
親が1人で必要とする水・食料・トイレの量は、計算ツールに人数(1人)を入れると具体的な数字で出せます。
5. 家の中の危険を先に減らす
東京都は「家族等の助けを借りながら、建物や家具などの安全を確認し、大きな家具には転倒防止対策を」「高齢者等は、河川増水や土砂災害の危険がなければ、出入口に近いところで休むようにしましょう」としています。帰省したときに寝室の家具配置を変える、というのは今日からできる対策です。
割れたガラスから足を守る踏み抜き防止タイプのスリッパ、居場所を知らせるホイッスルは、高齢の親ほど効果が大きい小物です。どちらも、息を強く吹き込まなくても音が出るか、普段履きのまま置いておけるかといった「体力が落ちた状態でも使えるか」を基準に選びます。
こんな人に停電中にラジオとライトとスマホ充電を別々に用意したくない
選ぶ理由ラジオ・LEDライト・5800mAhの充電を1台に。手回しとソーラーで電池切れに備える
こんな人に何を揃えればいいか分からず、最初の1セットを決めきれない
選ぶ理由36点が最初から入った1人用。福島県企業の開発で、まず1人分を確保する入口向け
親へ贈るときの選び方は防災グッズのプレゼントでも整理しています。
まとめ
- 薬とお薬手帳、老眼鏡・補聴器を「すぐ持ち出せる場所」に置く
- 自治体の避難行動要支援者名簿と個別避難計画の状況を問い合わせる
- 連絡手段を1つに決めて、平時に一度試しておく
- 夏の停電を想定し、水を多めに。家具の転倒防止は帰省時にやる
備えるモノの全体像は防災グッズで本当に必要なものリストを参照してください。
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
東京都『東京くらし防災』「体力・体調に不安がある人の備え」(PDF)2026年7月24日確認
↩ 本文へ薬を服用している場合は、発災時にすぐに持ち出せるように。7〜10日分の薬とお薬手帳はマストです
環境省「高齢者のための熱中症対策」(PDF)2026年8月6日確認
↩ 本文へ高齢者は若年者よりも体内の水分量が少ない上、体の老廃物を排出する際にたくさんの尿を必要とします
加齢により、暑さやのどの渇きに対する感覚が鈍くなります
1日あたり1.2L(リットル)を目安に
水分や塩分の摂取量はかかりつけ医の指示に従いましょう