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結論:絵本は「話し合いのきっかけ」として選ぶ
防災絵本を「子どもに知識を入れるための教材」だと考えると、選ぶ基準が曖昧になります。実際に効くのは、読んだあとに家族の行動が1つ決まることです。内閣府の広報も、家族で事前に決めておくことを出発点に置いています。1
理由もはっきりしています。2
離れているときに子どもが自分で動けるかどうかが、絵本を読む目的です。この視点で選ぶと、「怖がらせない」「かわいい」といった曖昧な基準から抜けられます。
年齢別の選び分け
0〜3歳:「音」と「動作」だけを伝えるもの
この時期は理屈が入りません。地震の擬音、揺れたら頭を守る動作、大人の後をついていく——この3つが繰り返し出てくる絵本が向きます。読み聞かせのあとに、実際に机の下に一緒に入るところまでやると、絵本の内容が動作と結びつきます。
避けたいのは、被災の描写が具体的すぎるものです。この年齢では不安だけが残ります。
4〜6歳:「自分の名前と行き先」が出てくるもの
園児になると、自分の名前を言う・大人を探す・その場を離れないといった行動が取れます。この段階の絵本は、主人公が親と離れた場面から始まるものを選ぶと、そのまま迷子対策の話につなげられます。
読んだあとにやることは、名札の準備です。書き方と持たせ方は子どもの迷子札の書き方にまとめています。
小学校低学年:「留守番中」「登下校中」の場面があるもの
子どもだけの時間が生まれる時期です。家の中で起きた場合、外にいる場合で行動が変わることを扱った絵本が合います。読んだあとは、子どもだけの留守番中に地震が起きたらの内容を家族のルールとして決めてください。
学校で被災した場合の引き渡しについては、学校の引き渡し訓練で保護者側の動きを確認しておきます。
小学校高学年:絵本から教材へ切り替える
このあたりで絵本は卒業段階に入ります。国土交通省は小中学生向けの検討ツールを公開しています。3
内容は水害に備える時系列の組み立てです。
- 国土交通省 下館河川事務所(「(2)「台風や前線が発生」してから「川の水が氾濫」するまでを知ろう!!(資料1)」「(3)「台風や前線が発生」してから「川の水が氾濫」するまでの備えを考えよう!!(資料2)」)
「読む」から「自分で書く」に移るのがこの段階です。家族版はマイ・タイムラインの作り方で作れます。
選ぶときに見るポイント
| 見るところ | 良い例 | 避けたい例 |
|---|---|---|
| 主人公の行動 | 子どもが自分で判断して動く | 大人がすべて解決する |
| 災害の種類 | 地震・水害など特定されている | 「災害」と漠然としている |
| 結末 | 家族と再会し、次の備えを話す | 助かって終わり |
| 読後の余白 | 話し合う問いかけがある | 情報を伝えて終わる |
| 地域性 | 自宅のハザードに合う災害を扱う | 縁のない災害だけを扱う |
自宅の立地で起きうる災害を扱った絵本を優先してください。 内陸で津波の絵本だけを読んでも、行動には結びつきません。
読み聞かせで伝わらないこと
絵本で扱いにくいのは次の3つです。ここは道具と実演で補います。
暗さ
停電の暗さは絵では伝わりません。夜に部屋を暗くして、子ども自身にライトを点けさせるのが確実です。持たせるライトの選び方は子どもに持たせる防災ライトにあります。
キャリー・ザ・サン スモール(ソーラーランタン)
折りたためて軽く、子どもが自分で扱えるサイズです。日中に窓際で充電させる習慣づけにも使えます。
声が届かない状況
瓦礫の下や離れた場所で「助けを呼ぶ」動作は、声だけでは限界があります。ホイッスルを持たせ、実際に一度吹かせておくと、いざというときに迷いません。
防犯ホイッスル(大音量)
ランドセルや防災リュックに付けられます。吹く練習を1回しておくのが前提です。
荷物の重さ
「持ち出し袋を持って逃げる」は、実際に背負ってみないと分かりません。子ども用のリュックを用意して、中身を一緒に入れてください。構成は子どもの防災リュックの中身を参照してください。
HIH 防災セット 1人用(ハザードリュック)
大人用ですが、家族分を揃えるときの基準になります。子どもの分は中身を抜いて軽くしたうえで、本人が背負える重さに調整します。
こんな人に何を揃えればいいか分からず、最初の1セットを決めきれない
選ぶ理由36点が最初から入った1人用。福島県企業の開発で、まず1人分を確保する入口向け
読んだあとに決める3つのこと
内閣府は連絡手段について、次の方法を挙げています。4
絵本を読んだその日に、次の3つを決めてしまうのが効率的です。
- 集合場所——避難場所については内閣府(「日頃から、自宅、学校、職場の近くや、通勤通学途中にある避難場所を確認しておきましょう」)としています
- 連絡の中継点——遠方の親戚を1軒決め、子どもにも電話番号を覚えさせる。手順は家族の安否確認ルールに沿って決めます
- 家の中の安全な場所——どの部屋のどこに入るかを、実際に入って決める
年1回でも繰り返すと定着します。進め方は家族の防災訓練を年1回やるにまとめています。
よくある質問
怖がりの子に読んでも大丈夫ですか?
被災描写の強さは絵本によって差があります。読む前に大人が一度通して読み、不安が強い場面があれば、その場で家の備えに触れながら読んでください。読んだあとに一緒に机の下に入るなど、行動で終わらせると不安が残りにくくなります。
何歳から読ませればいいですか?
擬音と動作だけの絵本なら、読み聞かせができる時期から使えます。理解より「頭を守る動作を真似する」ことが目的なので、内容が全部分かる必要はありません。
絵本を読めば防災教育になりますか?
絵本だけでは行動になりません。暗さ・音・重さは実物で体験させ、集合場所と連絡先は家族で決める——ここまでやって初めて、絵本の内容が使える形になります。
まとめ
- 絵本の目的は知識ではなく、家族の行動を1つ決めること
- 0〜3歳は音と動作、4〜6歳は名前と行き先、低学年は留守番と登下校の場面で選ぶ
- 高学年は絵本から教材へ。国土交通省の「逃げキッド」で自分の時系列を書かせる
- 自宅の立地で起きうる災害を扱ったものを優先する
- 暗さ・声が届かない状況・荷物の重さは絵本では伝わらない。ライト・ホイッスル・リュックの実物で補う
- 読んだ日に、集合場所・連絡の中継点・家の中の安全な場所の3つを決める
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
内閣府「広報ぼうさい 特集 家族で防災」2026年8月15日確認
↩ 本文へ災害が来てからでは遅い。日頃から、災害が起きた時にどのように行動するかを家族で決めておきましょう
内閣府2026年8月15日確認
↩ 本文へ災害は、家族が揃っているときに発生するとは限りません。自宅、学校、職場、出張先等、家族が離れ離れの状態で被災する可能性があります
国土交通省 関東地方整備局 下館河川事務所国土交通省 下館河川事務所「小中学生向けマイ・タイムライン検討ツール ~逃げキッド~」2026年8月21日確認
↩ 本文へ小中学生向けのマイ・タイムライン検討ツール~逃げキッド~を作成しました。
学校の授業や防災教育などでご活用ください。
内閣府「広報ぼうさい 特集 家族で防災」2026年8月15日確認
↩ 本文へ離れた場所に住む家族や親戚、知人の家を連絡先に決め、そこを中継点にして家族の安否確認や連絡をとる方法です
これらのサービスは、年に数回の体験利用期間が設けられていますので、是非実際に使ってみましょう