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災害援護資金は「もらう」ではなく「借りる」制度
被災後の公的支援には給付と貸付があります。災害援護資金は後者です。1
返済が前提の資金なので、給付である被災者生活再建支援金とは性格が違います。両方を検討する順番としては、まず給付の対象になるかを見て、足りない分の資金繰りをこちらで考える形になります。
条件1: 被害の種類
対象になる被害は3つのいずれかです。
- 内閣府(同上)(「世帯主が災害により負傷し、その療養に要する期間が概ね1か月以上」「家財の1/3以上の損害」「住居の半壊又は全壊・流出」)
負傷は世帯主が要件になっている点、住居は半壊から対象になる点が特徴です。住宅の被害だけでなく、家財の損害単独でも対象になり得ます。
条件2: 所得制限
もうひとつの関門が所得です。
- 内閣府(同上)(「所得制限があります。表の額以下の場合が対象です」)
世帯人員ごとの上限は次のとおりです(市町村民税における前年の総所得金額)。
| 世帯人員 | 前年の総所得金額 |
|---|---|
| 1人 | 220万円 |
| 2人 | 430万円 |
| 3人 | 620万円 |
| 4人 | 730万円 |
| 5人以上 | 1人増すごとに730万円に30万円を加えた額 |
出典: 内閣府「被災者支援に関する各種制度の概要」(同上)
住居が滅失した場合は別枠が設けられており、5人以上の世帯では1,270万円とされています。所得の判定は前年の総所得で行われるため、被災後に収入が落ちても判定には反映されない点に注意が必要です。
いくらまで借りられるか
限度額は、世帯主の負傷の有無と住居・家財の被害の組み合わせで決まります。
| 世帯主に1か月以上の負傷 | 被害の内容 | 貸付限度額 |
|---|---|---|
| あり | 当該負傷のみ | 150万円 |
| あり | 家財の3分の1以上の損害 | 250万円 |
| あり | 住居の半壊 | 270万円 |
| あり | 住居の全壊 | 350万円 |
| なし | 家財の3分の1以上の損害 | 150万円 |
| なし | 住居の半壊 | 170万円 |
| なし | 住居の全壊 | 250万円 |
| なし | 住居の全体の滅失又は流失 | 350万円 |
出典: 内閣府「被災者支援に関する各種制度の概要」(同上)
利率と返済期間
貸付条件は次のように定められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 貸付利率 | 年3%以内で条例で定める率(据置期間中は無利子) |
| 据置期間 | 3年以内(特別の場合5年) |
| 償還期間 | 10年以内(据置期間を含む) |
-
内閣府(同上)(「年3%以内で条例で定める率(据置期間中は無利子)」)
-
内閣府(同上)(「3年以内(特別の場合5年)」)
-
内閣府(同上)(「10年以内(据置期間を含む)」)
利率が「以内」「条例で定める率」となっているとおり、実際の率は市町村の条例で決まります。据置期間中は無利子で、償還期間には据置期間が含まれます。つまり据置を3年取れば、返済に充てられるのは残りの期間ということになります。
対象になる災害の範囲
制度が動く条件は災害の規模にも及びます。
- 内閣府(同上)(「対象となる災害は、自然災害で都道府県において災害救助法が適用された市町村が1以上ある場合などの災害です」)
自宅が半壊しても、災害の規模がこの要件に届かなければ制度は使えません。地域全体の被害状況とセットで決まる点は、他の被災者支援制度と共通しています。
申請先と、先に用意しておくもの
問い合わせ先は市町村です。被害の程度を証明する起点になるのは罹災証明書なので、罹災証明書の申請手順で扱ったとおり、片付け前の写真から逆算して動くことになります。
負傷が要件に入るため、医療機関の診断書など療養期間を示す書類も必要になり得ます。通帳・印鑑・本人確認書類が手元にないと手続きが止まるので、貴重品の持ち出しもあわせて備えておくと動きが早くなります。
まとめ
- 災害援護資金は給付ではなく貸付。返済が前提
- 対象は「世帯主の1か月以上の負傷」「家財の3分の1以上の損害」「住居の半壊または全壊・流出」のいずれか
- 前年の総所得による所得制限がある(1人世帯220万円〜)
- 限度額は150万円から350万円まで、負傷の有無と被害区分で決まる
- 利率は年3%以内で条例により決定、据置期間中は無利子。償還は据置を含めて10年以内
- 窓口は市町村。災害救助法の適用が前提になる
住宅の修理費用を公費でまかなう制度は住宅の応急修理制度、家族が亡くなった場合の給付は災害弔慰金とはで扱っています。手元の現金の備えは防災用の現金はいくら必要かもどうぞ。
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
内閣府「被災者支援に関する各種制度の概要」2026年8月18日確認
↩ 本文へ災害により負傷又は住居、家財の損害を受けた方に対して、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき、生活の再建に必要な資金を貸し付けます