防災用の現金はいくら備える?小銭の内訳と保管場所の決め方
根拠: 経済産業省「電力レジリエンスワーキンググループ 台風15号の停電復旧対応等に係る検証結果取りまとめ」(2026年8月6日確認) ほか4件(記事末に一覧)
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停電すると、支払い手段がまとめて止まる
スマホ決済もクレジットカードも、店側の決済端末と通信が生きていることが前提です。停電すればどちらも動きません。ATMも同様で、動いていても現金の補充が止まれば引き出せなくなります。
停電は数時間で終わるとは限りません。経済産業省は2019年の台風15号について、「電力レジリエンスワーキンググループ 検証結果取りまとめ」(「停電の解消(ピーク比99%相当の復旧)までに約280時間を要した」)としています。約12日です。この間ずっと「現金しか使えない」状況が続いた地域がありました。
公的な金額基準はない。だから用途から逆算する
国や自治体の非常持ち出し品リストに現金は載っていますが、金額まで指定した公的基準はありません。家族構成も居住地も違うため、一律の額を出しようがないからです。
そこで、災害時に現金が要る場面を並べて必要額を積み上げます。
| 用途 | 想定される支払い | 目安 |
|---|---|---|
| 公衆電話 | 家族への連絡 | 10円玉を十数枚 |
| 自動販売機 | 飲料の確保 | 100円玉・500円玉を各十数枚 |
| 個人商店・露店 | 食料・日用品 | 千円札を中心に |
| 交通費(バス・タクシー) | 移動・帰宅 | 千円札と小銭 |
| 数日分の生活費 | 宿泊・買い出し | 1万円札を数枚 |
積み上げると、1人あたり3万円前後、うち小銭を数千円分というのが多くの家庭で扱いやすい水準になります。これは公的基準ではなく用途からの逆算値です。家族人数や持病の有無で上下させてください。
小銭を軽視しない
大きい額の紙幣だけを用意しても、災害直後の店では釣り銭が出ません。釣り銭が出ない前提で払える額面をそろえておく必要があります。
とくに10円玉には別の役割があります。大阪府の非常持ち出し品リストは現金の項目に、大阪府「備蓄品や非常持ち出し品などの準備」(「公衆電話用に10円玉も」)と書き添えています。公衆電話は停電時にも使える場合があり、携帯がつながらないときの連絡手段として残ります。
あわせて、通信各社の伝言サービスも押さえておいてください。総務省は「非常時における通信の概要」(「災害用伝言サービスには、171番に電話をかける『災害用伝言ダイヤル(171)』、携帯電話のネット接続機能を使った『災害用伝言板』、インターネットを使用する『災害用伝言板(web171)』があります」)としています。使い方は災害用伝言ダイヤル171の使い方にまとめました。
どこに、どう保管するか
現金は非常持ち出し品の中でも「貴重品類」に分類されます。総務省消防庁のチェックシートは、「非常用持出品チェックシート」(「非常用持出品は貴重品類・避難用具・生活用品・救急用具・非常食品・衣料品・感染症対策物品・その他の8カテゴリで構成されている」)としており、真っ先に持ち出す区分です。
保管の考え方は3つです。
- 持ち出し袋の中に分けて入れる。全額を1か所にまとめない
- 家の中でも分散させる。寝室と玄関など、取り出せる場所を2か所以上
- 通帳・印鑑・本人確認書類のコピーと同じ場所にまとめない。紛失時の被害を分ける
持ち出し袋に入れる総重量には限りがあります。神奈川県は「非常持出品の準備(重さの目安)」(「リュックなどに入れる重さの目安は、男性で15キロ、女性で10キロ程度です」)としています。小銭は思ったより重いので、入れすぎると他の装備を圧迫します。
貴重品そのものの持ち出し方は印鑑・通帳は持ち出すべきか、一次持ち出しと二次持ち出しの分け方は一次持ち出しと二次持ち出しの分け方で整理しています。
年1回、中身を入れ替える
袋に入れっぱなしの現金は忘れられます。旧札のまま何年も置かれていたり、家族の誰かが抜いて戻していなかったりします。防災の日や年末など、日を決めて中身を確認する運用にしてください。
同じタイミングで、持ち出し袋全体の点検もしておくと効率的です。中身の一覧は防災リュックの中身にまとめています。被災後の手続きに必要な書類についてはり災証明書の手続きも確認しておいてください。
まとめ
- 金額の公的基準はない。公衆電話・自販機・個人商店という用途から積み上げる
- 目安は1人3万円前後、うち小銭を数千円分。釣り銭が出ない前提でそろえる
- 10円玉は公衆電話用として別枠で確保する
- 1か所にまとめず分散保管し、年1回入れ替える