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装備より先に「歩き出してよいか」を決める
徒歩帰宅の準備というと、まず靴や持ち物の話になりがちです。しかし公的な対策の順序は逆で、歩き出さないことが原則という立て付けになっています。
- 内閣府(防災担当)「帰宅困難者等対策」(「STOP! 一斉帰宅」を掲げ、「災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン」を令和8年1月改定版として公開している)
一斉帰宅が抑制されるのは、道路や駅周辺の混雑が救助・消火活動の妨げになるためです。東京都の条例も、事業者に対して従業者の一斉帰宅の抑制と3日分の備蓄を求めています。
- 東京都帰宅困難者対策条例(第七条で事業者は「従業者が一斉に帰宅することの抑制に努めなければならない」とされ、同条第2項で「従業者の三日分の飲料水、食糧その他災害時における必要な物資を備蓄するよう努めなければならない」と定められている)
つまり徒歩帰宅は「最初にとる行動」ではなく、とどまる選択が成り立たなくなったときの手段です。
歩き出す前に確認すること
判断材料が揃わないまま出発するのが最も危険です。次の順で確認します。
| 確認 | 内容 |
|---|---|
| 家族の安否 | 連絡が取れているか。安否確認の手段を平時に決めてあるか |
| とどまれるか | 職場や施設に留まれる場所と備蓄があるか |
| 交通の再開見込み | 代替輸送の有無。再開見込みが立つなら待つほうが安全 |
| 経路の状況 | 火災・浸水・倒壊・通行止めの情報。夜間かどうか |
| 自分の体力と装備 | 距離に対して靴・水・明かりが足りているか |
家族の安否確認は、電話がつながらない前提で手段を決めておく必要があります。
経路上に支援を受けられる場所がある
歩くと決めた場合、途中で水やトイレを使える場所が設定されています。
- 東京都防災ホームページ「帰宅困難者に対する支援」(都立学校(島しょ地域を除く)と東京武道館を「災害時帰宅支援ステーション」に指定し、「水道水、トイレ、テレビ・ラジオ等による災害情報」を提供するとしている。あわせてコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、ファミリーレストランなど37団体と協定を結んでいる)
自分の通勤経路上にどの施設があるかは、平時に地図で確認しておかないと当日は探せません。歩く距離が長いほど、水とトイレの位置が行動を左右します。
持ち物
- 歩きやすい靴: 最優先。革靴・ヒールのまま長距離を歩くのは現実的ではありません。職場に運動靴を置いておく方法が確実です
- 明かり: 停電した夜間の徒歩帰宅は、明かりがないと進めません。両手が空くヘッドライト型が有利です
- 水: 支援ステーションで補給できる前提でも、手元に持って出ます
- モバイルバッテリー: 経路情報の確認と安否連絡に使います
- 地図(紙): 電池が切れても経路を確認できます
- 軍手・ホイッスル: 瓦礫やガラスに触れる場面と、動けなくなった場合に備えるもの
- 雨具: 体温低下を防ぐため。防寒具を兼ねます
割れたガラスを踏む可能性がある経路では、足元の装備が事故を左右します。
日常的に持ち歩く分をあらかじめ絞っておくと、当日に慌てて詰める必要がなくなります。
途中で引き返す判断も用意しておく
歩き始めてから状況が悪化することもあります。どこまで進んだら引き返すかを出発前に決めておくと、判断が遅れません。日没時刻、経路上の代替避難先、体力の限界地点をあらかじめ決めておきます。
職場側の備えが整っていれば、そもそも歩き出さずに済む可能性が上がります。
まとめ
- 公的な対策の原則は一斉帰宅の抑制。徒歩帰宅はとどまれなくなったときの手段
- 家族の安否・とどまれるか・交通再開見込み・経路の状況・自分の装備の5点を確認してから決める
- 東京都は都立学校などを災害時帰宅支援ステーションに指定し、水道水・トイレ・災害情報を提供する
- 靴と明かりが最優先。経路上の支援施設は平時に地図で確認しておく
- 引き返す基準を出発前に決めておく
備え全体の優先順位は防災グッズで本当に必要なものリストを参照してください。