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職場で被災したら「すぐ帰る」は選べない
平日の日中に大きな災害が起きた場合、多くの人は自宅ではなく職場にいます。このとき最初に問われるのが、帰るかとどまるかの判断です。
内閣府は帰宅困難者等対策として「STOP! 一斉帰宅」を掲げ、対策のガイドラインを公開しています。
- 内閣府(防災担当)「帰宅困難者等対策」(「災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン」が令和8年1月改定版として公開されている)
一斉に帰宅を始めると道路や駅周辺が混雑し、救助・消火活動の妨げになります。個人の判断で動き出すことが、全体の被害を広げるという構造があるため、原則はその場にとどまることになります。
会社にどこまで備蓄義務があるのか
東京都では、事業者の備蓄が条例で定められています。
- 東京都帰宅困難者対策条例(第七条で事業者は「従業者が一斉に帰宅することの抑制に努めなければならない」とされ、同条第2項で「従業者の三日分の飲料水、食糧その他災害時における必要な物資を備蓄するよう努めなければならない」と定められている。平成24年3月30日公布、平成25年4月1日施行)
ここで押さえておきたいのは2点です。
- 3日分が基準: 帰宅を抑制する前提なので、その間の飲食をまかなう量として3日分が設定されています
- 努力義務である: 「努めなければならない」という書き方であり、罰則を伴う義務ではありません。また東京都の条例であり、全国一律のルールではありません
つまり勤務先に3日分の備蓄があるとは限らないというのが出発点になります。
まず勤務先の状況を確認する
個人で何を持つかを決める前に、会社側の状況を確認しておくと過不足がなくなります。
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 備蓄の有無と量 | 何人分・何日分あるか。全従業員分か、一部か |
| 備蓄の中身 | 水・食料だけか。毛布・簡易トイレ・衛生用品まであるか |
| 保管場所 | どのフロアにあるか。エレベーターが止まっても取りに行けるか |
| 期限管理 | 誰がいつ入れ替えているか |
| 待機の判断基準 | 誰が「とどまる/帰る」を決めるのか |
備蓄があっても中身が水と食料だけというケースは珍しくありません。トイレと衛生用品が抜けていることが多いため、そこは自分で埋める前提で考えたほうが安全です。
個人で持っておくもの
会社の備蓄で埋まらない部分を、デスクやロッカーに置いておきます。
- 飲料水: 会社の備蓄があっても、自分の手元に1本あると初動が楽になります
- 携帯トイレ: 断水すると社内のトイレも使えなくなります。個人で数回分持つ意味は大きい部分です
- 衛生用品: ウェットティッシュ、常備薬、生理用品など、備蓄に含まれないことが多いもの
- モバイルバッテリー: 安否連絡と情報収集の生命線。充電済みの状態で置いておきます
- 歩きやすい靴: 革靴やヒールのままでは長距離を歩けません
- 防寒具: 空調が止まった建物内は季節によってはかなり冷えます
携帯トイレの必要数の考え方は別記事で整理しています。
外出中に被災する場合に備えて日常的に持ち歩く分は、デスクの備えとは別に考えます。
帰宅を判断する段階になったら
とどまる前提で備えたうえで、それでも帰宅を判断する局面は来ます。徒歩で帰る場合の準備は、装備も判断基準も別の話になります。
まとめ
- 内閣府は「STOP! 一斉帰宅」を掲げ、原則はその場にとどまることを求めている
- 東京都の条例は事業者に3日分の備蓄を求めているが、努力義務であり全国一律ではない
- 勤務先の備蓄量・中身・保管場所・期限管理・待機の判断基準を先に確認する
- トイレと衛生用品は会社の備蓄から抜けやすいため、個人で埋める前提で用意する
備え全体の優先順位は防災グッズで本当に必要なものリストを参照してください。