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ポータブルトイレと簡易トイレ、どっちを備えればいいのか分からない
防災用のトイレを探していると、似た見た目の商品が「ポータブルトイレ」「簡易トイレ」「携帯トイレ」「非常用トイレ」と、店やメーカーによって違う名前で並んでいることに気づきます。
ややこしいのは、「ポータブルトイレ」が2つの意味で使われていることです。介護用品の分野では、ベッドの近くに置いて使う持ち運びできる便座を昔から「ポータブルトイレ」と呼びます。一方、防災用品売り場では、便座ごと持ち運べる組み立て式のトイレがこの名前で売られていることがあります。「簡易トイレ」も同様で、便器にかぶせる袋式を指す商品と、便座型を指す商品の両方があります。
名称だけで選ぼうとすると混乱するので、この記事では商品の構造で3タイプに分けて整理し、どっちを備えるべきかを「自宅の便器が使えるか」から決める方法を解説します。必要な回数の計算方法は簡易トイレは何回分必要?に譲ります。
結論:名称ではなく「自宅の便器が使えるか」で決める
前提として、経済産業省は「トイレ備蓄 忘れていませんか」(「災害時には断水や下水配管の損傷によりご家庭のトイレ(水洗トイレ)が使えなくなることがあります」)と注意を促しています。「使えなくなる」の中身は2通りあり、どちらに備えるかでタイプが決まります。
- 便器そのものは無事で、水が流せないだけ(断水・配管の損傷)→ 自宅の洋式便器に袋をかぶせて使う袋式で足ります。座り慣れた便座をそのまま使え、追加の家具も要りません
- 便器が使えない・そもそも便器がない(自宅に戻れない、車中泊、屋外、トイレまでの移動が難しい)→ 便座ごと置けるポータブル型が必要です
注意したいのは、集合住宅では「便器が無事でも流さない」判断が要ることです。東京都下水道局は「災害時のトイレ対策について」(「配管などが破損していると下水が詰まって汚水が逆流したり、破損したところから噴出することがあります」「特に集合住宅の場合は、下の階のお宅へ汚水が逆流する場合があります」)と説明しています。つまりマンションの在宅避難では、見た目に問題がなくても点検が済むまで水は流さず、袋式で受けて処理するのが基本です。
構造で分ける3タイプと「呼ばれ方」の対応
| タイプ | 構造 | 主な呼ばれ方の例 |
|---|---|---|
| 袋式(かぶせるタイプ) | 自宅の洋式便器に袋を取り付け、凝固剤で固める | 携帯トイレ、簡易トイレ、非常用トイレ |
| ポータブル型(便座ごと置くタイプ) | 便座・フレームが一体で、便器がない場所にも設置できる | ポータブルトイレ、簡易トイレ(折りたたみ)、組立式トイレ |
| 兼用型 | 普段は踏み台や椅子として使い、非常時にトイレへ切り替える | 簡易トイレ、多機能防災グッズ |
行政の防災情報では、「携帯トイレ」は袋式を指して使われるのが一般的です。神奈川県は「携帯トイレを備蓄しましょう」(「便器に袋を取り付けて、吸水シートで吸収するタイプや凝固剤で固めるタイプがあります」)と説明しています。一方、商品名としての使われ方はメーカーや店によって揺れているため、名前ではなく商品写真と構造を確認するのが確実です。
袋式(かぶせるタイプ):自宅の洋式便器をそのまま使う
在宅避難が前提で、断水時にも自宅のトイレの形をそのまま使いたい場合はこのタイプが基本です。便器にかぶせて凝固剤で固めるシンプルな仕組みで、収納もかさばりません。
こんな人に回数分を買ったが、点検と入れ替えの手間を減らしたい
選ぶ理由15年保存で60〜600回まで回数を選べる。日本防災安全協会の認証品
ポータブル型:便器がなくても単体で使える
車中泊、屋外での避難生活、自宅の便器そのものが使えない状況など、「便器を前提にできない」場面で活躍するのがこのタイプです。フレームや便座が一体になっており、置く場所さえあれば設置できます。介護用のポータブルトイレと発想は同じで、トイレまでの移動が難しい家族がいる家庭では、防災用を兼ねて備える選択肢にもなります。
兼用型:普段づかいの家具と一体化
賃貸などで防災グッズ専用の収納スペースを確保しにくい場合は、普段は踏み台や椅子として使い、いざというときにトイレとして展開できる兼用タイプが場所を取りません。
こんな人に簡易トイレを置く場所がなく、普段は別の用途で使いたい
選ぶ理由踏み台・椅子にもなる折りたたみ簡易トイレ。1台で4役なので平時も邪魔にならない
どっちが自分に合うか
- 在宅避難が中心: 袋式で十分です。集合住宅で配管の無事が確認できないうちは、断水していなくても袋式で受けるのが基本です
- 車中泊・屋外・自宅に戻れない可能性がある: 便器を前提にしないポータブル型を選んでおくと安心です
- トイレまでの移動が難しい家族がいる: 寝室に置けるポータブル型が介護用と防災用を兼ねられます
- 賃貸で収納場所を確保しにくい: 普段使いと兼用できる兼用型を選ぶと専用スペースが要りません
在宅避難と車移動の両方に備えたい場合は、袋式を主力にしつつ、車にポータブル型か袋式の携帯用を1つ積んでおくという組み合わせも現実的です。車に何個常備するかは渋滞・立ち往生・車中泊のどれを想定するかで変わるため、車に携帯トイレは何個常備すべきかを参照してください。
ポータブル型を屋外や避難所で使う場合は、本体だけでは周囲の視線を遮れません。目隠しの組み合わせ方は簡易トイレの目隠し対策にまとめています。
買う前に確認しておきたいこと
タイプを決めたあとは、次の点を商品ページで必ず確認してください。
- 凝固剤が付属しているか: セットに含まれているか、別売りかで初期費用が変わります。神奈川県は「携帯トイレを備蓄しましょう」(「凝固剤は排泄物を固めるだけでなく、消臭効果や除菌効果のあるものや、10年〜15年の長期保管できるものもあります」)と紹介しており、凝固剤の性能差を見るポイントになります。保存期間は簡易トイレに使用期限はあるかも合わせて確認してください
- 防臭袋の有無: 使用後の袋を数日保管する前提になるため、防臭仕様かどうかは商品ごとに差があります(簡易トイレの臭い対策)
- 何回分を確保するか: どのタイプを選んでも、実際に消費するのは処理袋と凝固剤です。経済産業省は「トイレ備蓄 忘れていませんか」(「1人あたり35回分(7日分)の災害時トイレの備蓄が必要です」)としています。ポータブル型を買った場合も、処理袋の備蓄は本体とは別に人数分必要です
必要な回数の具体的な計算方法は、以下の記事にまとめています。
まとめ
「ポータブルトイレ」「簡易トイレ」「携帯トイレ」という名称の違いにこだわる必要はありません。大事なのは、自宅の便器が使えるか(使ってよいか)を起点に、袋式・ポータブル型・兼用型のどのタイプが自分の避難シーンに合うかを見極めることです。まだ防災グッズ全体の優先順位を確認していない人は、本当に必要な防災グッズのリストも合わせて確認してください。