断水中の赤ちゃんの体をどう清潔にするか|沐浴の代わりと清拭の手順
根拠: 東京都福祉局「災害時に備えて 知っていますか?乳児用液体ミルク」(2026年7月24日確認) ほか6件(記事末に一覧)
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沐浴ができない日が何日続くかを先に知る
断水すると、まず沐浴が止まります。毎日入れるのが当たり前だった分、「入れられない」ことへの不安は大きくなります。
前提として、復旧までの時間感覚を持っておいてください。東京都は次のように説明しています。1
数日ではなく1週間以上を見込む必要がある、ということです。「明日には戻るだろう」という前提で水を使うと、途中で足りなくなります。
厚生労働省は、水が確保できない場面での考え方をこう示しています。2
やめるのではなく、方法を替える。方向はこれ一つです。
全身浴の代わりになる3つの方法
厚生労働省は、代わりの手段も具体的に挙げています。3
ここから、断水時に取れる選択肢は3段階に整理できます。
| 段階 | 方法 | 使う水の量の目安 |
|---|---|---|
| A | 温かいタオルで全身を拭く(清拭) | 洗面器1杯程度 |
| B | おしり・首・脇など部分だけ洗う(部分浴) | Aに加えて少量 |
| C | ベビー用のウェットシートで拭く | ほぼ不要 |
水が使える日は A、余裕がある日は B を足す、水が全く出ない日は C。日によって段階を落とす前提で考えると、水の配分に無理がなくなります。
清拭の順番:上から下、汚れの少ない所から
拭く順番には理由があります。汚れの多い部位を先に拭くと、同じタオルで他の場所に広げてしまうためです。
- 顔(目のまわり→頬→口のまわり)
- 首のしわの内側(ミルクや汗がたまりやすい)
- 脇の下・腕・手
- 胸・おなか
- 背中
- 足のつけ根・足
- おしり・陰部(最後。ここは別のタオルかシートを使う)
ポイントは3つです。
- タオルは面を変えながら使う。1回ごとに折り返し、きれいな面を当てる
- しわの内側を開いて拭く。首・脇・足のつけ根・ひじの内側は汚れがたまりやすい
- 拭いたらすぐ乾いた布で水分を取る。濡れたままだと体温を奪う
湯の温度は、普段の沐浴と同じ感覚で構いません。カセットコンロで沸かす場合は、沸騰させてから水で薄めるより、ぬるめに温めて使い切るほうが水の節約になります。
乳児向けのセットは、清拭用のシートやおむつなど大人用の備えでは代用しにくいものがまとまっています。中身を確認して、足りない分だけ買い足す使い方が現実的です。
おむつ替えのときの手洗いをどうするか
断水中に頻度が落ちないのがおむつ替えです。ここが衛生面の要になります。
厚生労働省は、手洗いの優先順位をこう示しています。4
読み替えると、汚れが目に見えるときは水と石けんが先で、アルコールはその代わりにはならない、という順序です。断水中でも、おむつ替えの後だけは少量の水を確保して洗う価値があります。
現実的な運用としては次の形です。
- ペットボトルの口にキャップで穴をあけたものを「簡易蛇口」にする(少量ずつ出せる)
- 洗った水は洗面器で受け、そのままトイレ用に回す
- 拭き取り用のペーパーを先に使い、汚れを落としてから最小限の水で流す
同じガイドラインは、共用のタオルやバケツについて注意も出しています。5
避難所だけの話ではありません。家族で1枚のタオルを使い回さないことは、自宅でも同じです。人数分のフェイスタオルを備えておくと運用が楽になります。
シート類は「顔・体用」と「おしり用」を分けて備えると、清拭の順番どおりに使えます。確認リストが付いたセットは、足りない品目を洗い出す用途にも使えます。
授乳は「水を使わない形」に切り替える
清拭に水を回すためには、他で水を減らす必要があります。最も効くのが授乳です。
東京都は液体ミルクの位置づけをこう説明しています。6
扱い方には条件があります。7
「清潔な容器に移し替えて」の部分が断水時のネックです。哺乳瓶を洗う水がないので、使い捨ての哺乳瓶や、紙パックに直接つける専用の乳首を備えておくと、洗浄の水がまるごと不要になります。
→ 液体ミルクの備蓄
洗わずに済むことは、断水中には量の問題そのものです。1日の授乳回数分だけ確保できると、洗浄用の水を清拭に回せます。
水の残量から逆算して配分を決める
清拭に使える水は、飲み水を確保した後の残りです。順番を間違えないでください。8
飲用を先に確保したうえで、生活用水は次の順で削ります。
- 飲用・調乳(削らない)
- 手洗い(おむつ替え後)(削らない)
- 清拭
- 食器洗い(ラップやポリ袋で代替)
- 洗濯(後回し)
東京都水道局は、生活の中での節水をこう案内しています。9
くみ置きをしている場合は、保存期間の目安があります。10
清拭に使う分は、期限が近いくみ置き水から回すと無駄が出ません。
体調の変化は自己判断しない
清拭は体を清潔に保つための日常のケアです。発熱、機嫌が戻らない、皮膚の状態がいつもと明らかに違うといった変化があるときは、清拭の工夫で対応しようとせず、医療の窓口に相談してください。断水中でも、自治体の相談窓口やかかりつけの連絡先は案内されます。停電・断水の状況下で受診先をどう探すかは、平時のうちに調べておいてください。
避難所や自宅で使える連絡手段は、あらかじめ確認しておくと動きやすくなります。
まとめ
- 断水は1週間以上続く前提で水を配分する
- 入浴の代わりは「温かいタオルでの清拭」と「足や手など部分的な入浴」(厚生労働省)
- 清拭は顔→首→脇→胸・おなか→背中→足→おしりの順。タオルは面を変えながら使い、拭いたら乾いた布で水分を取る
- おむつ替え後の手洗いは削らない。目に見える汚れがあるときは水と石けんが先で、アルコールは代わりにならない
- 共用タオル・共用の手洗いバケツは自宅でも避ける
- 授乳を液体ミルク+使い捨て哺乳瓶にすると、洗浄用の水を清拭に回せる
- 体調の変化は清拭の工夫で対応せず、医療の窓口に相談する
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
東京都福祉局「災害時に備えて 知っていますか?乳児用液体ミルク」2026年7月24日確認
↩ 本文へ大規模災害では電気・ガス・水道などライフラインの復旧に1週間以上かかるおそれがある
厚生労働省「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」2026年8月9日確認
↩ 本文へ水が十分に確保できない時や入浴設備が整わない場合でも、病気や感染症予防等のために、体を清潔に保つことが大切です
厚生労働省「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」2026年8月9日確認
↩ 本文へ清潔を保つ方法としては、温かいおしぼりやタオル等を用いて体を拭いたり、足や手など部分的な入浴もあります
厚生労働省「避難所等のトイレの消毒方法、手洗いなどについて」2026年8月9日確認
↩ 本文へ流水が使用できる場合は、流水と石鹸で手を洗ってください
速乾性アルコール手指消毒薬があれば、使用してください
目に見える汚れがある場合、1を優先してください
厚生労働省「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」2026年8月9日確認
↩ 本文へトイレへの共用タオルや手洗いバケツの設置は感染症の流行を広げる恐れがありますので、避けましょう
東京都福祉局「災害時に備えて 知っていますか?乳児用液体ミルク」2026年7月24日確認
↩ 本文へ普段粉ミルクを使っている家庭にとって、水を使わずに飲ませられる液体ミルクは災害時に有用
消費者庁「乳児用液体ミルクってなに?」(特別用途食品制度)2026年7月24日確認
↩ 本文へ乳児用液体ミルクは滅菌済みだが、開封後はすぐに使用し、飲み残しは与えない
水で薄めずに与え、紙パック・缶の場合は清潔な容器に移し替えて与える
内閣府「自然災害への備えは万全ですか?チェックしてみよう!」2026年7月24日確認
↩ 本文へ飲料水は一人1日3リットルを目安に、最低3日分、できれば1週間分を備蓄する
東京都水道局「節水にご協力を」2026年8月2日確認
↩ 本文へ台所は水を流しっぱなしにしない。食器の汚れを拭いてから洗う
東京都水道局「くみ置く際の留意事項」2026年7月24日確認
↩ 本文へくみ置いた水道水の保存期間は常温で3日間、冷蔵庫で10日間が目安