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在宅避難は「支援の対象外」ではない
自宅が無事なら避難所に行かず自宅で過ごす——在宅避難は、避難所の混雑を避けられる現実的な選択です。一方で「避難所にいないと物資がもらえないのでは」「支援の対象から外れるのでは」という不安がついて回ります。
内閣府は、在宅避難者を次のように定義しています。1
つまり在宅避難者は支援を実施すべき対象として位置づけられているということです。問題は「対象かどうか」ではなく、自治体に存在を把握してもらえるかどうかにあります。避難所にいる人は名簿で把握できますが、自宅にいる人は、こちらから接点を作らないと数に入りません。
在宅避難を選ぶかどうかの判断そのものは、住まいの被害状況で決まります。
まずやること:最寄りの避難所に「いること」を伝える
在宅避難で最初にやるべきなのは、最寄りの指定避難所に顔を出して、自宅にいることを伝えることです。泊まる必要はありません。多くの自治体で、避難所は次の役割を兼ねています。
- 物資の配布拠点
- 給水・仮設トイレなどの拠点
- 被災者の把握と、支援情報の掲示場所
- り災証明など各種手続きの案内窓口
受付で「自宅で生活しているが物資の配布を受けたい」と伝え、世帯人数・住所・連絡先を登録できるか確認してください。名簿があるかどうかで、配布の回数や巡回の対象が変わることがあります。乳幼児・高齢者・持病のある家族がいる場合は、その時点で申し出ておくと、必要な物資(粉ミルク、おむつ、アレルギー対応食など)の手配につながります。
物資が届く経路は1つではない
在宅避難者に物資が渡る経路は、地域や時期によって次のように変わります。
- 避難所での配布: 最も一般的。配布時間が決まっていることが多く、掲示や放送で告知される
- 地域の集会所・自治会単位の配布: 町内会や自主防災組織が取りまとめて配る形
- 巡回・戸別配布: 支援が落ち着いた段階で、在宅避難世帯を回る形が取られることがある
- 給水拠点での受け取り: 水は避難所とは別に給水拠点が設けられる
水については、東京都水道局が給水の目安と持ち物をこう案内しています。2
容器は自分で用意する前提です。給水拠点に何を持って行くかは、別記事で詳しく書いています。
大容量のタンクは自宅での貯留に向きますが、満水にすると持ち運べる重さを超えます。運ぶ用と貯める用を分けるのが現実的です。
情報を取りに行く経路を決めておく
在宅避難で最も不足しやすいのは、物資そのものより**「いつ・どこで配るか」の情報**です。自宅にいると、避難所の掲示も放送も届きません。次の経路を組み合わせてください。
- 避難所の掲示板を定期的に見に行く: 1日1回など時間を決めて確認する
- 自治体の公式サイト・公式SNS・防災アプリ: 配布場所と時間が更新される
- 防災行政無線・コミュニティFM: 停電時はラジオが有効
- 自治会・町内会の連絡網: 実際の配布は自治会単位で回ることが多い
家族との連絡手段も、あらかじめ決めておく必要があります。総務省は災害時の通信についてこう説明しています。3
こんな人に停電中にラジオとライトとスマホ充電を別々に用意したくない
選ぶ理由ラジオ・LEDライト・5800mAhの充電を1台に。手回しとソーラーで電池切れに備える
停電が続くと、スマートフォンの充電を情報収集に集中させたくなります。ラジオを別に持っておくと、電池の使い道を分けられるのが利点です。
手続き系の情報も避難所で拾える
在宅避難では、支援金や修理制度の案内も自分から取りに行く必要があります。とくにり災証明書は、住宅の被害程度を証明するもので、各種支援の入口になります。申請の受付開始や必要書類は、避難所の掲示や自治体の広報で告知されます。
自宅にいるとごみの収集停止も生活に直結します。収集が止まる前提での置き方は、別記事で解説しています。
まとめ
- 在宅避難者は支援を実施すべき対象として位置づけられている(内閣府)
- ただし把握されないと配布の対象から漏れる。最寄りの避難所で世帯情報を登録できるか確認する
- 物資の経路は避難所・自治会・巡回・給水拠点の複数。水の容器は自前で用意する
- 不足しやすいのは物資より情報。掲示・自治体サイト・ラジオ・自治会の4経路を決めておく
在宅避難で最初に効くのは自宅の備蓄です。必要なものの全体像は在宅避難に必要なものリストを参考にしてください。
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
内閣府(防災担当)「在宅・車中泊避難者等の支援の手引き」2026年8月6日確認
↩ 本文へ『在宅避難者』とは、単に災害時に自宅等で生活を行っている人を広く指すものではなく、災害によるガスや水道といったインフラの途絶や物流網の途絶、家屋への被害等のため、自らの備蓄を利用し、或いはなんらかの支援を受けて避難生活を送る人であり、必要な支援を実施する必要がある
東京都水道局「災害時に水を配る場所〜災害時給水ステーション〜」2026年8月6日確認
↩ 本文へ震災時は、成人が1日に必要な飲料水の量である3リットルを目安として給水します
3リットル(3kg)の水は重いので、背負えるタイプの給水袋や、空のペットボトルとリュックサックなどをご用意ください
総務省「非常時における通信の概要」2026年7月24日確認
↩ 本文へ地震等の災害が発生した場合、通信が混み合って電話がつながりにくくなります。電気通信事業者各社では、こうした通信の混雑の影響を避けながら、家族や知人との間での安否の確認や避難場所の連絡等をスムーズに行うため、『災害用伝言サービス』を提供しています