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冠水した道路に車で入ってしまったとき、いちばん怖いのは「ドアが開かない」状態です。しかもこれは水がドアの上まで来てから起きるのではなく、もっと浅い段階から始まります。国土交通省が自動車ユーザー向けに出している脱出手順の資料をもとに、水深ごとに何が起きるのか、どの順番で動くのかを整理します。
まず、冠水路に入ったときに車で起きること
水深で何が起きるかを段階で押さえる
同じ資料には、水深と車の状態の対応が図で示されています。ここが判断の軸になります。
| 水深の段階 | 車に起きること |
|---|---|
| ドアの下端にかかる | 水圧で内側からドアを開けにくくなる |
| 床面を超える | 電気装置が損傷し、パワーウインドウ等が動かなくなるおそれ |
| ドア高さの半分を超える | 内側からドアはほぼ開けられなくなる |
| タイヤが完全に水没 | 車体が浮いて移動が難しくなる |
つまり「窓を電動で開ける」という選択肢は、床面が浸かった時点で消える可能性があります。ドアが重くなってきたと感じた瞬間が、電動の窓を開ける最後のタイミングだと考えておくのが安全側です。8
脱出の手順は4段階
① ドアを開けて出る
貴重品を集める、荷物をまとめるといった行動をこの段階に挟むと、②以降に落ちます。持ち出すのは体だけ、という判断を先に決めておきます。10
② 窓から出る
前述のとおり、電動の窓は床面浸水で動かなくなる可能性があります。動くうちに開けておく、が実務的な運用になります。11
③ 窓を割る
窓を割るには専用の道具が要ります。12
ここで最も見落とされやすいのが、割れない窓があるという点です。1314
合わせガラスの構造はこう説明されています。15
だから、ハンマーを積んだだけでは足りません。自分の車のどの窓が合わせガラスなのかを事前に確認しておく必要があります。16
置き場所も重要です。トランクやグローブボックスの奥では、水が入ってきてから取り出せません。運転席から手が届く場所に固定しておきます。車に常備する防災用品の全体像は車に積む防災グッズにまとめました。
④ それでも開かないとき
車内に水が入りきると内外の水圧差が消えて、ドアが開く側に戻る。ここを知っているかどうかで、最後の数十秒の行動が変わります。1920
そもそも冠水路に入らないための備え
脱出手順は最後の手段で、本来は入らないのが正解です。
- 自宅・職場・通勤路のどこが浸水想定区域かを地図で先に見ておく(ハザードマップの見方)
- アンダーパスや掘り下げ道路は雨のとき迂回路を決めておく(地下街の浸水対策)
- 車で避難するか自宅にとどまるかを事前に決めておく(水害時の在宅避難の判断)
- 大雨の予報が出た日は、車を高い場所へ先に移す
渋滞に巻き込まれて動けなくなった場合に備え、車内で数時間過ごせる備えも合わせて置いておくと判断に余裕が出ます。
まとめ
- 冠水路ではマフラー・吸気口からの浸水でエンジンが停止し、再始動しなくなるおそれがある
- 水深がドアの下端にかかった時点で、水圧でドアが開きにくくなり始める
- 床面を超えると電気装置が損傷し、パワーウインドウが動かなくなるおそれがある
- ドア高さの半分を超えると、内側からはほぼ開けられなくなる
- 手順はドア→窓→ハンマーで窓を割る→水位が均等になるのを待つ、の4段階
- フロントガラスは合わせガラスで、脱出用ハンマーでは割れない。車種によってはドア・リアも合わせガラス
- ハンマーはJIS・GSマーク等の表示がある製品を選び、運転席から届く場所に固定する
- 最後まで諦めない。内外の水位が同程度になるとドアが開く可能性が高まる
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へ水害時に冠水した道路を自動車で走行した場合、車内への浸水によりエンジンやモーター等が停止して移動できなくなる危険性があります
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へマフラーから浸水するとエンジンが停止し、再始動しなくなるおそれ
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へ吸気口から浸水するとエンジンが停止し、再始動しなくなるおそれ
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へタイヤが完全に水没すると、車体が浮いて移動が困難になるおそれ
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へ水流がある場合、車両が流されるおそれ
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へ水深がドアの下端にかかると、車外の水圧により内側からドアを開けることが困難となり、ドア高さの半分を超えると、内側からほぼ開けられなくなるおそれ
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へ水深が床面を超えたら、電気装置が損傷し、自動スライドドアやパワーウインドウが動作しなくなるおそれ
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へさらに水位が上昇すると、車外の水圧により、内側からドアを開けることはほぼ不可能となります
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へ車両が水没した際には、以下の①〜④の手順に沿って、速やかに車両から脱出してください
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へ水位が低いうちにドアを開けて脱出する
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へ水圧等でドアが開かない場合、窓を開いて脱出する
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へ自動車の窓ガラスは、走行中の安全性確保のため、十分な強度を有しており、専用の道具を使わず破砕することは困難です
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へフロントガラスは、合わせガラスです
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へまた、一部の車種では、ドアガラスやリアガラスにも合わせガラスが使用されています
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へ2枚のガラスを特殊フィルム(中間膜)を介して接着しているもので、中間膜を破ることが非常に難しく、ガラスが割れても粉々にならない
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へ脱出用ハンマーを購入する際は、販売店にご確認頂く等により、ご自身の車の合わせガラスの箇所をご確認ください
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へ脱出用ハンマーには、幾つかの種類があります
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へ脱出用ハンマーの購入時には、JISマークやGSマークなど、性能を保証する表示がある製品のほか、販売店等が推奨する製品をお求めください
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へそれでも脱出できない場合も、あきらめないでください
国土交通省「自動車ユーザーの皆様へ ―車両からの脱出手順について―」2026年8月15日確認
↩ 本文へ浸水により内外の水位が同程度になると、ドアが開く可能性が高まります