ローリングストックに冷凍庫は使える?停電リスクとの兼ね合いで考える
根拠: 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド(2) ローリングストック」(2026年8月6日確認) ほか6件(記事末に一覧)
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冷凍庫の中身は備蓄に数えていいのか
冷凍庫に食パンや肉、冷凍野菜が詰まっていると「これも備蓄のうち」と考えたくなります。実際、ローリングストックの考え方には合っています。農林水産省は「災害時に備えた食品ストックガイド」(「普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法」)としており、日常的に食べて買い足す冷凍品はこの定義にきれいに当てはまります。
ただし停電すると冷凍庫は備蓄でなくなります。ここが常温の備蓄と決定的に違う点です。結論から言えば、冷凍庫は「備蓄の本体」ではなく「最初に食べる枠」として位置づけるのが正解です。
停電したら何時間もつのか
停電時の庫内温度について、名張市は「停電時の対処法について」(「冷蔵庫は開閉しなければ2〜3時間は冷気が保持されます」)としています。冷凍庫は冷蔵室より低温で、庫内が詰まっているほど冷気が保たれやすいとされますが、実際にもつ時間は庫内の量・気温・機種で変わります。
いずれにしても鍵は「開けないこと」です。君津市も「停電への備えと停電時に家庭で気をつけること」(「停電中は冷蔵庫・冷凍庫の温度が上がりやすくなります。食品の傷みを防ぐため、必要以上に扉を開け閉めしないようにしてください」)と注意しています。
停電が長引く可能性も見ておく必要があります。経済産業省は2019年の台風15号について、「電力レジリエンスワーキンググループ 検証結果取りまとめ」(「停電の解消(ピーク比99%相当の復旧)までに約280時間を要した」)としています。この長さになると冷凍庫の中身は残りません。停電の復旧見通しは停電で冷蔵庫は何時間もつかでも扱っています。
冷凍庫を「最初に食べる枠」に置く運用
食べる順番を決めておくと、冷凍庫の弱点はほぼ埋まります。
| 順番 | 食べるもの | 理由 |
|---|---|---|
| 1日目 | 冷蔵室のもの | 最も早く傷む |
| 1〜2日目 | 冷凍庫のもの | 解けはじめる前に消費する |
| 3日目以降 | 常温の非常食・レトルト | 期限が長く、後回しにできる |
この順番を家族で共有しておくのが、冷凍庫を備蓄に組み込む唯一の条件です。常温の備蓄を減らして冷凍庫で代替する、という使い方はしないでください。停電と同時に消えてしまいます。
冷凍品を保冷剤として使う手もあります。警視庁は「停電で冷蔵庫が止まったときは」(「冷凍庫にあるものを冷蔵庫の上の段に移動して、冷蔵庫の下の段に冷やしたい食品を移せば、その冷気で下の段の食品をしばらく保冷することができます」)としています。冷凍品の保冷剤としての使い方は断水・停電時の保冷剤の代用にまとめました。
なお、いったん解けた食品を再び凍らせるのは避けてください。においや状態に少しでも不安があれば口にしないのが安全です。
常温の備蓄は別枠で確保する
ライフラインが戻るまでの期間について、農林水産省は「災害時に備えた食品ストックガイド」(「災害発生からライフライン復旧まで1週間以上を要するケースが多くみられます」)としています。冷凍庫でカバーできるのはこのうち最初の1〜2日だけです。
残りを埋めるのが常温の備蓄です。同ガイドは「最低3日分〜1週間分」(「最低3日分〜1週間分×人数分の食品の家庭備蓄が望ましいといわれています」)としています。常温側の考え方はローリングストックのやり方と1週間分の献立例で解説しています。
置き場所は分散させる
冷凍庫はキッチンの1か所に集中しています。常温の備蓄まで同じ場所に置くと、その部屋が使えなくなったときに全部を失います。農林水産省も「分散収納」(「キッチン、押し入れ、リビング、寝室のクローゼットなど、家の中にあるいろいろな隙間スペースを見つけて、分散収納しましょう」)を勧めています。
具体的な置き場所の決め方は備蓄の分散収納 場所の決め方、期限管理の仕組みは備蓄のローテーション管理にまとめています。
まとめ
- 冷凍庫はローリングストックの定義に合うが、停電すると備蓄として機能しない
- 位置づけは「最初の1〜2日に食べる枠」。常温の備蓄を減らす代替にはしない
- 停電時は扉を開けない。冷凍品は冷蔵室の保冷にも使える
- 常温備蓄は最低3日〜1週間分を別枠で、分散して置く