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結論:代用にはなるが、主力にはならない
大人用紙おむつは吸収体そのものなので、災害時のトイレ代用として一定の役割を果たします。ただし主力として使うには向きません。向くのは次の場面に限られます。
| 場面 | 紙おむつの適性 |
|---|---|
| 夜間・移動が難しい人の就寝時 | 向く |
| 車中泊や渋滞で外に出られないとき | 向く |
| けが・体調不良で立てないとき | 向く |
| 家族全員の7日分をまかなう | 向かない |
| 大便の処理 | 向かない(袋での処理が必要) |
国の備蓄指針でも、紙おむつは「トイレの代わり」ではなく備蓄品目の一つとして位置づけられています。内閣府男女共同参画局「災害対応力を強化する女性の視点(便利帳)備蓄チェックシート」(「大人用紙おむつ(各種サイズ、女性用、男性用)、おむつ用ビニール袋」)を挙げています。おむつ本体とセットで処理用の袋が並んでいる点が要点です。
なぜ主力にならないのか
理由は3つあります。
1. 数量が現実的でない。必要量の目安は経済産業省「トイレ備蓄 忘れていませんか」(「1人あたり35回分(7日分)の災害時トイレの備蓄が必要です」)としています。1人7日分でも35回。これを紙おむつでまかなうと、かさばり方が簡易トイレの比ではありません。備蓄量の考え方は大人用おむつは何日分備蓄すべきかにまとめています。
2. 大便に対応しにくい。おむつは尿の吸収を前提に作られています。大便は袋で受けて縛る処理が要るため、結局は簡易トイレ側の仕組みが必要になります。
3. 処理と衛生。使用後のおむつは水分を含んだまま溜まります。収集が止まっている間の保管は簡易トイレの袋と同じ扱いになり、二重袋・空気抜き・直射日光を避けた保管が必要です。必要枚数の考え方は災害時トイレの処理袋・防臭袋は何枚必要かを参照してください。
便器に流さない
紙おむつを使う場合でも、断水中に便器を流すのは避けてください。東京都下水道局「災害時のトイレ対策について」(「特に集合住宅の場合は、下の階のお宅へ汚水が逆流する場合があります」)としています。おむつも簡易トイレの袋も、可燃ごみとして保管して収集再開を待つのが基本です。
手洗いをどう確保するか
排泄まわりで感染が広がりやすいのは、処理そのものより手指です。厚生労働省「避難所等のトイレの消毒方法、手洗いなどについて」(「流水が使用できる場合は、流水と石鹸で手を洗ってください」)としており、水が使えない場面については同ページで厚生労働省(「速乾性アルコール手指消毒薬があれば、使用してください」)としています。おむつを備えるなら、消毒薬と使い捨て手袋も同じ箱に入れておいてください。
介助が必要な家庭の組み合わせ方
寝たきりや車いすの家族がいる場合、紙おむつと簡易トイレは競合しません。夜間はおむつ、日中は簡易トイレという使い分けが現実的です。介助の動線は高齢者の簡易トイレ介助、便座の高さや安定性の話は介護用ポータブルトイレを防災兼用にするで扱っています。
処理方式そのものの違いは、神奈川県「携帯トイレを備蓄しましょう」(「便器に袋を取り付けて、吸水シートで吸収するタイプや凝固剤で固めるタイプがあります」)としています。おむつと同じ「吸わせる」考え方の製品もあるため、併用しても扱いに矛盾は出ません。
まとめ
- 紙おむつは夜間・移動困難・車中の場面で有効な補助手段
- 全量をおむつでまかなうのは、かさと処理の面で現実的でない
- 大便は袋で受ける必要があり、簡易トイレ側の備えは別に要る
- おむつを備えるなら処理袋・手指消毒・使い捨て手袋をセットにする
- 断水中は便器を流さない。集合住宅ほど影響が大きい