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固定できていない理由の多くは「技術と道具」
家具固定が後回しになる理由は、必要性がわからないからではありません。壁の下地が分からない・工具がない・重い家具を動かせないという物理的な壁です。とくに高齢の世帯では、脚立に上る作業そのものが危険になります。
内閣府は、地震でのけがの原因についてこう説明しています。1
けがの原因の3〜5割が家具である以上、「自分でできないなら外注する」ところまでを対策に含める必要があります。多くの自治体は、まさにこの部分を埋めるための制度を用意しています。
自治体の支援は主に3タイプ
「家具固定の助成金」と呼ばれるものは、実際には次の3つに分かれます。名称は自治体ごとに違い、複数を併用している自治体もあります。
- 器具の現物支給・あっせん: L字金具や転倒防止器具そのものを配布する、または割安で購入できるようにあっせんする形
- 取付費用の助成: 業者に頼んだ費用の一部または全部を自治体が負担する形。上限額と対象世帯が決められている
- 取付作業員の派遣: 自治体が委託した事業者やシルバー人材センターが自宅を訪問し、取り付けまで行う形
対象は高齢者のみの世帯・障害のある方のいる世帯・要介護認定を受けている方の世帯などに限定されていることが多く、全世帯が使えるとは限りません。一方で、器具のあっせんは対象を限定していない自治体もあります。
制度の探し方
検索は「市区町村名 + 家具転倒防止 + 助成」または「家具固定 + 助成」で当たります。見つからない場合は次を当たってください。
- 市区町村の防災担当課(防災課・危機管理課)
- 高齢福祉課・介護保険担当課(高齢者向け制度はこちらにある場合が多い)
- 社会福祉協議会
- 地域包括支援センター(高齢の親の家について相談する場合)
申請前に確認しておく点は次の4つです。
- 対象世帯の条件(年齢・要介護度・所得要件の有無)
- 対象になる器具の種類(突っ張り棒だけ対象外、などの線引きがある場合がある)
- 申請の順番(工事の前に申請が必要か、後から請求できるか)
- 賃貸住宅の場合の扱い(所有者の同意書が必要になることが多い)
とくに**「工事前の申請が必須」**という条件は見落としやすい点です。先に業者へ頼んでしまうと助成の対象外になることがあります。
離れて暮らす親の家に制度を使う場合の進め方は、別記事も参考にしてください。
業者に頼むときに確認すること
制度が使えない、あるいは対象外の家具を固定したい場合は、リフォーム事業者や便利屋、ホームセンターの取付サービスに依頼する形になります。見積もりを取るときは、次を先に伝えると話が早く進みます。
- 家具の種類とおおよその寸法・重量(食器棚、本棚、タンス、冷蔵庫など)
- 壁と天井の構造(石膏ボード、コンクリート、木造の間柱があるか)
- 持ち家か賃貸か(賃貸ならネジ止めの可否)
- 固定したい家具の数(1点だけか、家中まとめてか)
見積もりでは**「1台あたりの作業費」と「出張費」が別立てになっているか**を確認してください。1台だけ頼むより、まとめて依頼するほうが1台あたりの負担は下がる傾向があります。器具の代金が作業費に含まれるかどうかも、事業者によって扱いが違います。
賃貸で壁に穴を開けられない場合は、そもそも選べる工法が変わります。
自分でできる範囲を先に済ませておく
外注や制度の利用には時間がかかります。申請から取り付けまで数週間かかることもあるため、待っている間にできることを先に済ませるのが現実的です。
東京消防庁は、テレビや冷蔵庫の対策についてこう説明しています。2
工具がなくてもできる対策としては、家具の上の重い物を下ろす・寝る場所と家具の位置関係を変える・ガラス面に飛散防止の処置をするなどがあります。
テープでの目張りは本格的な飛散防止フィルムの代わりにはなりませんが、工具も技術も要らず今日できる点で、順番としては先に手を付けやすい対策です。
まとめ
- 自治体の支援は「器具の支給・あっせん」「費用の助成」「作業員の派遣」の3タイプ
- 対象は高齢者世帯・障害のある方の世帯などに限られることが多く、器具あっせんは対象が広い場合がある
- 工事前の申請が必須の制度があるため、業者に頼む前に窓口へ確認する
- 見積もりは作業費と出張費の内訳、器具代の扱い、まとめ依頼の可否を確認する
固定方法そのものの選び方は家具の転倒防止|突っ張り棒の効果と限界、本棚の具体的な固定は本棚の転倒防止と固定方法も参考にしてください。
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
内閣府「広報ぼうさい 特集3 地震に備える」2026年9月1日確認
↩ 本文へ近年発生した大きな地震でけがをした人の原因は、約30%から50%が家具類の転倒・落下・移動によるものでした
東京消防庁「自宅の家具転対策」2026年8月3日確認
↩ 本文へテレビは重心が高く、テレビ台ごと転倒することがあります。テレビ台も壁や床などに固定しましょう