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重い家電ほど倒れないという誤解
冷蔵庫は家の中でもとくに重い家電です。そのため地震対策を考えるとき、「これだけ重ければ倒れないだろう」と固定の対象から外されがちです。
ところが冷蔵庫は、重量が庫内全体に分散しており、背が高く奥行きが浅い形状をしています。さらに設置面はキャスターや調整脚で、床と面で接していません。重さと安定性は別のものです。
家具類が倒れることの影響は、けがの原因として大きな割合を占めています。1
冷蔵庫はキッチンの動線上にあり、倒れると避難経路をふさぐ位置に置かれていることも多い家電です。
固定は「脚」と「上部」の2段構え
東京消防庁は、冷蔵庫の対策を次のように示しています。2
ここで押さえるべきは、対策が2つで1組だという点です。
| 対策 | 防いでいること |
|---|---|
| 脚のロック | 揺れで冷蔵庫そのものが移動・滑走すること |
| 上部のベルト連結 | 前方または側方に倒れ込むこと |
脚のロックだけでは、動かないまま前に倒れます。上部を連結するだけでは、脚が滑って連結部に無理な力がかかります。どちらか一方では対策が完成しません。
手順1: 脚のロックを確認する
多くの冷蔵庫は、前面下部にキャスターと高さ調整脚を持っています。設置時に調整脚を下ろしてキャスターを浮かせる構造になっているものが一般的です。
確認するのは次の点です。
- 前面下部のカバーを外し、調整脚が床に接しているか見る
- 冷蔵庫を前後に軽く押して、動かないことを確かめる
- 動く場合は、取扱説明書に従って調整脚を下ろし、本体を水平にする
掃除や引っ越しのあとに調整脚を戻し忘れているケースは珍しくありません。すでに固定したつもりの家庭でも、一度は確認する価値があります。
手順2: 上部を壁と連結する
上部の連結は、冷蔵庫の背面上部と壁をベルトでつなぐ形になります。ここで結果を分けるのが、壁側のどこに留めるかです。
消防庁が「壁の強度のある部分で行う必要があります」と条件を付けているとおり、石膏ボードにネジを打っても揺れの力には耐えません。留める先は、ボードの裏にある柱や間柱(下地)です。
- 下地の位置は、下地探し(針式・センサー式)で確認します
- 冷蔵庫の設置位置と下地の位置がずれている場合は、横方向に渡した板を下地に留め、その板にベルトを固定する方法があります
- 賃貸で壁に穴を開けられない場合は、粘着ベースのベルトや、上部と天井の間を突っ張る方法に切り替えます
粘着タイプは壁紙ごと剥がれることがあるため、耐荷重の表示と貼り付け面の素材を確認してください。
器具の使い分け早見
冷蔵庫の地震対策の器具は、住まいの条件で選び方が変わります。
| 住まいの条件 | 使う器具 |
|---|---|
| 壁にネジ止めできる(持ち家など) | 転倒防止ベルト(下地に固定) |
| 壁に穴を開けられない(賃貸) | 粘着ベースのベルト/天井との突っ張り式 |
| 床の滑り・移動が気になる | 調整脚のロック+滑り止めマット |
どのタイプでも、脚と上部の2段構えという考え方は変わりません。粘着タイプは耐荷重の表示と貼り付け面の素材、突っ張り式は天井側の強度を確認してから選んでください。
こんな人に冷蔵庫やラックの上と天井のすき間が狭くて普通の突っ張り棒が入らない
選ぶ理由すき間が狭い設置に絞った短尺タイプ。冷蔵庫上・レンジラック上の需要を拾う
扉が開くことも合わせて防ぐ
冷蔵庫が倒れなくても、揺れで扉が開けば中身が床に散乱します。瓶が割れれば、停電した暗いキッチンを歩けなくなります。
扉が開くのを防ぐ器具は、食器棚と同じ考え方です。冷蔵庫用の扉ロックは、市販品のほか本体に標準装備されている機種もあります。
冷蔵庫の周囲も見る
冷蔵庫の上に電子レンジやオーブントースターを載せている場合、揺れたときに落下するのはそちらが先です。重い調理家電が頭の高さから落ちる配置は、冷蔵庫本体より危険が大きくなります。
- 冷蔵庫の上に重い家電を置かない
- やむを得ず置く場合は、粘着マットや固定具で本体と連結する
- 冷蔵庫の前や横に、倒れると通路をふさぐ背の高い家具を置かない
家具全般の固定の考え方は別記事で整理しています。
→ 家具の転倒防止|突っ張り棒だけで防げるか、効果を高める設置位置
まとめ
- 冷蔵庫は重いが、背が高く接地面が小さいため転倒する
- 対策は「脚のロック」と「上部のベルト連結」の2つで1組
- ネジ止めする場合は、壁の強度のある部分(下地)に留める
- 賃貸では粘着ベースや突っ張り式に切り替える
- 扉が開いて中身が散乱するのも合わせて防ぐ
- 冷蔵庫の上に重い調理家電を置かない
停電で冷蔵庫が止まったあとの扱いは停電で冷蔵庫は何時間もつかにまとめています。
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
内閣府「広報ぼうさい 特集3 地震に備える」2026年9月1日確認
↩ 本文へ近年発生した大きな地震でけがをした人の原因は、約30%から50%が家具類の転倒・落下・移動によるものでした
東京消防庁「自宅の家具転対策」2026年8月3日確認
↩ 本文へ脚の部分のロックを行うとともに、冷蔵庫の上部をベルトなどで背面の壁と連結することが有効ですが、壁側にネジ止めをする器具の場合は、壁の強度のある部分で行う必要があります