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ドアは「揺れている間」ではなく「揺れの直後」に開ける
大きな揺れで建物がゆがむと、玄関ドアが枠に噛んで開かなくなることがあります。マンションでは、鉄の枠とドアの隙間がわずかしかないため、少しの変形でも動かなくなります。
だからこそ、消防庁は揺れが収まった直後の行動としてこう示しています。1
順番は**「隠れる → 揺れが収まる → 出口を確保する → ただし飛び出さない」**です。出口の確保は、いま出るためではなく、余震でさらに変形する前に開くようにしておくための作業です。開けたらドアストッパーや靴などを挟んで、閉まらないようにしておいてください。
開かないときにやること・やらないこと
すでに開かなくなっている場合の手順です。
まずやること
- 鍵とサムターンを確認する: 変形ではなく施錠のままだった、という例は実際にあります
- 上下・左右に力を分けてみる: 押しながら、引きながら、ノブを持ち上げる/下げる。噛んでいる位置がずれて動くことがある
- 蝶番側とラッチ側のどちらが噛んでいるか見る: 隙間の広い側と狭い側で判断できる
- 他の出口を探す: ここがいちばん現実的な解決策です
やらないほうがよいこと
- 体当たりを繰り返す: 肩やドア枠を傷めるだけで、変形は戻りません
- バールなどでこじ開ける: 破片が飛ぶ、手を挟む、火花が出るなどの危険があります。周囲でガス臭がする状況では、火花はとくに避けたいところです
- 無理をして時間を使い切る: 動けるうちに別の手段へ切り替えるほうが早く出られます
別の出口を先に決めておく
玄関以外の出口を、平時に確認しておいてください。集合住宅と戸建てで違います。
マンション・アパート
- ベランダの隔板(となりとの仕切り): 蹴破って隣戸へ移れる構造になっていることが多い。前に物を置かないのが重要
- 避難ハッチ: ベランダの床にあるふた。上に物を置くと使えません
- 共用廊下側の窓
隔板と避難ハッチの位置は、普段から家族全員が知っている必要があります。前に物置やプランターを置いていると、いざというとき使えません。
戸建て
- 掃き出し窓(庭に面した窓)
- 勝手口
- 1階の窓
いずれもサッシが変形して開かない可能性があるため、複数の候補を持っておきます。
エレベーターに閉じ込められた場合は、扱いが別になります。
出られないときは、助けを呼ぶ側に切り替える
どの出口も使えないなら、脱出を続けるより居場所を知らせるほうが確実です。
- ホイッスル: 声より遠くまで届き、体力を使わない。首や肩ベルトに常時付けておく
- 硬いもので壁や配管をたたく: 一定のリズムで繰り返す。人工的な音は聞き分けられる
- 携帯電話: 通話がつながらなくても、災害用伝言板やメッセージは届くことがある
- 明かりを外に見せる: 夜間は窓際にライトを置く
声を出し続けるのは体力を消耗します。道具に置き換えるのが基本です。
開かなくなる原因を減らす
そもそもドアまで到達できない、という事態のほうが多く起こります。原因は家具です。2
廊下や玄関に面した場所に背の高い家具を置くと、倒れて通路を塞ぎます。避難経路上には倒れるものを置かない——これが最も効く対策です。
固定も同時に進めてください。東京消防庁は固定の考え方をこう説明しています。3
賃貸で壁に穴を開けられない場合の方法もあります。
玄関まわりに置いておくもの
脱出そのものより、脱出できる状態を保つための備えです。
- ドアストッパー: 揺れの直後に開けたドアを閉めさせない
- 靴: 玄関にガラスが散ることを想定し、下駄箱の中ではなく取り出しやすい位置に
- ホイッスル: 玄関と寝室の両方に
- ライト: 玄関の手が届く位置に1つ
- 持ち出し袋: 玄関に置く。ただしドアの開閉を邪魔しない位置に
持ち出し袋の置き場所は、消防庁も玄関を挙げています。ドアが開かない可能性を考えると、玄関だけに集中させず、寝室にも分けるのが現実的です。
閉じ込められた状況で、体力を使わずに位置を知らせられる数少ない道具です。リュックの中ではなく、身につけておくものとして扱ってください。
停電した室内で出口を探すには、両手が空く明かりが要ります。
ベランダの隔板や避難ハッチを探すときも、片手が空いているかどうかで動きやすさが変わります。
まとめ
- 揺れが収まったら出口を確保する。ただしあわてて飛び出さない(消防庁)
- 開いたドアはストッパーや靴を挟んで閉めさせない
- 開かないときは、施錠の確認 → 力の方向を変える → 別の出口、の順で切り替える
- 体当たりやこじ開けは危険。時間を使い切る前に別手段へ移る
- マンションはベランダの隔板と避難ハッチが出口。前に物を置かない
- 出られないときはホイッスルなど道具で居場所を知らせる。声は体力を消耗する
- 避難経路上に倒れる家具を置かない。地震のけがの約30%〜50%は家具類が原因(内閣府)
地震後に自宅を確認する手順は地震のあと自宅に戻ってよいかにまとめています。
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
総務省消防庁「総務省消防庁「地震に自信を―あなたを守る次の行動」」2026年7月24日確認
↩ 本文へ地震発生直後は丈夫な机の下に隠れてその脚を握り、クッションなどで頭を保護しながら揺れが収まるのを待つ
揺れがおさまったら出口を確保するために扉を開け、あわてて外に飛び出さない
内閣府「広報ぼうさい 特集3 地震に備える」2026年9月1日確認
↩ 本文へ近年発生した大きな地震でけがをした人の原因は、約30%から50%が家具類の転倒・落下・移動によるものでした
東京消防庁「自宅の家具転対策」2026年8月3日確認
↩ 本文へストラップや粘着マット、ヒートンを使って連結・固定する場合は、テレビ本体の形状・重量や壁の強度に応じた対策が重要です