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「重いから飛ばない」は前提にしない
室外機は数十キロあり、飛ばされるイメージが湧きにくい設備です。ですが問題になるのは飛散だけではありません。傾く・ずれる・転倒することで、配管が引っ張られて故障します。1
室外機は「家の中へ格納」できないため、選択肢は固定と、周囲の環境を整えることに絞られます。
風の規模は次のとおりです。2
17m/s は台風と呼ぶための下限です。実際にはこれを大きく超える風が吹くことを前提に考えます。
まず自宅の設置タイプを確認する
対策は設置方法で変わります。ベランダに出て、室外機の下と背面を見てください。
| 設置タイプ | 見分け方 | 主なリスク |
|---|---|---|
| 平地置き(直置き) | コンクリブロックや樹脂の据付台の上に載っている | 台ごとずれる。台が固定されていないことが多い |
| ベランダ置き | ベランダの床に据付台で置かれている | 飛来物の直撃。周囲の物が当たる |
| 壁掛け | 外壁に金具で吊られている | 金具の腐食。振動でボルトが緩む |
| 屋根置き・架台 | 屋根や専用架台の上 | 風を最も強く受ける。自力対応は不可 |
| 二段置き | 室外機が上下に重なる | 上段の負荷が大きい |
一般的な住宅で最も多いのは平地置きとベランダ置きです。この2つは、据付台が床に固定されていない例が珍しくありません。台の上に室外機が載っているだけ、という状態です。
自分でできる確認と対策
1. 据付ボルトが締まっているか見る
室外機の脚部と据付台をつなぐボルト・ナットを確認します。緩んでいれば、工具で締めます。錆びて固着している場合は無理に回さず、業者に相談します。
2. 据付台そのものの安定を見る
ブロックがぐらつく、片側が浮いている、地面が沈んでいる、という状態は、風で動く余地があります。水平でない場合、平時から振動や運転音の原因にもなります。設置し直しは業者の作業です。
3. 周囲の飛来物を除く
これが最も効果が分かりやすく、自分で完結する作業です。室外機の周りに置いた植木鉢、ホース、脚立、掃除用具、すのこを片づけます。飛来物が室外機のフィンに当たると、変形して能力が落ちます。
ベランダ全体の片づけ方はベランダの台風対策にまとめています。
4. 室外機カバーは外す
日よけ・雪よけのカバーや、上に置いた板は、風を受ける面積を増やします。台風の前は外して室内へ入れます。
例外は、浸水対策として意図的にカバーを使う場合です(次の浸水の項を参照)。その場合もメーカーは、カバーをかけたままの運転をしないよう案内しています。3
5. 吹き出し口の前を空ける
台風のあと運転を再開したときに、吸込・吹出が塞がっていると効率が落ちます。片づけたあと、正面と背面に物を戻さないようにします。
触ってはいけない部分
自己判断で作業すると、被害を大きくする箇所があります。
- 冷媒配管(銅管とその断熱材):曲げる・引っ張る・ロープを掛ける、いずれも避けます。冷媒が漏れると修理が必要になります
- ドレンホース:抜くと排水が室内側に回る場合があります
- 電源線・アース線:通電部分です。触りません
- 外壁へのアンカー打ち:壁掛け金具の追加や打ち直しは、防水層を傷める可能性があります
室外機にロープを掛けて手すりに縛る方法が紹介されることがありますが、掛ける位置を誤ると配管に力が加わります。行う場合は、配管や熱交換フィンを避け、本体の脚部や据付台に対して行うのが基本です。判断に迷うなら、施工した業者に「台風前に固定を足したい」と伝えて確認するのが確実です。
台風の接近中、エアコンは使っていい?
運転そのものが禁止されているわけではありませんが、メーカーは台風時の運転に注意点を挙げています。4
室外機の正面に強風が吹き付ける向き・時間帯は、運転を控えるのが無難です。運転中に室外機から普段と違う音がしたら、そのまま使い続けず停止します。5
台風で停電した場合の扱いも決まっています。6
復旧の瞬間に自動で運転が再開すると一時的に負荷がかかるためです。停電から復帰したあとの確認手順は停電後にエアコンが動かないときの復帰手順にまとめています。
室外機の浸水・水没にどう備えるか
大雨を伴う台風では、風より先に水が問題になることがあります。低地や半地下、過去に冠水した場所に室外機がある家は、置き場所の高さを見直すか、応急の防水を考えます。7
浸水してしまった(可能性がある)場合は、自分で通電して確かめないことが重要です。8
運転中にブレーカーが落ちたら漏電のサインとして扱い、復旧させて使い続けるのではなく点検を依頼します。水が引いたあとに「動くかどうか」を試すのも同じ理由で避けます。
賃貸・分譲マンションの場合
ベランダは多くの場合、専有部分ではなく共用部分の専用使用部分です。壁や床にアンカーを打つ工事は、管理規約で制限されていることがあります。
- 賃貸:管理会社か大家に連絡する。エアコンが設備として付いている場合、固定の責任も貸主側にあることが多い
- 分譲:管理組合か管理会社に確認する
「据付台が固定されていない」と気づいた時点で連絡しておくと、台風シーズン前に対応してもらえる可能性があります。
在宅避難を含めたマンション全体の備えは、東京都も示しています。9
台風が過ぎたあとの確認
風が収まってから、次を見ます。
- 室外機が傾いていないか、据付台からずれていないか
- フィン(背面の薄い金属の羽)がへこんでいないか
- 配管の断熱材が破れていないか
- 運転して、異音や振動が増えていないか
異音がする場合は運転を止めて業者に連絡します。倒れた・ずれた室外機をそのまま使い続けると、配管に負荷が残ります。
倒れていた場合、自分で起こさないでください。メーカーもこの点をはっきり書いています。10
配管がつながったまま本体を動かすと、外からは見えない位置で冷媒漏れや断線が起きることがあります。倒れた室外機は電源を入れず、写真を撮ってからメーカー・修理業者(賃貸なら管理会社)に連絡します。
まとめ
- 室外機は飛ぶより先に「ずれる・傾く」ことで壊れる
- まず設置タイプ(平地置き/ベランダ置き/壁掛け/屋根置き)を見分ける
- 自分でやるのは、ボルトの確認と周囲の飛来物の除去まで
- 室外機カバーは風を受けるので台風前は外す。浸水対策で使うなら運転しない
- 冷媒配管・電源線・外壁アンカーには触らない
- 台風中の運転は禁止ではないが、強風が正面に当たる間と異音がした時は止める
- 停電したらプラグを抜くか専用ブレーカーを切る。浸水の疑いがあれば通電せず点検へ
- 賃貸・分譲は管理会社へ。固定は貸主側の対応になることがある
- 台風後は傾き・フィンの変形・異音を確認する。倒れていても自分で起こさない
台風前の全体の段取りは台風に備える持ち物と行動リスト、上陸後の勢力の考え方は台風は上陸すると弱まるのか、マンション特有の備えはマンションの防災対策を参照してください。
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
気象庁「自分で行う災害への備え」2026年9月1日確認
↩ 本文へ風で飛ばされそうな物は飛ばないよう固定したり、家の中へ格納する。
気象庁「台風とは」2026年9月1日確認
↩ 本文へ低気圧域内の最大風速(10分間平均)がおよそ17 m/s(34ノット、風力8)以上のもの
パナソニック「台風シーズンのエアコントラブル対策法」2026年9月1日確認
↩ 本文へただし、カバーをかけた状態では空気の流れが妨げられるため、エアコンの運転は控えるようにしましょう。
パナソニック2026年9月1日確認
↩ 本文へ室外機正面に強風が吹きつけることにより、ファンに高い負荷がかかり破損するといったケースも。
パナソニック2026年9月1日確認
↩ 本文へただし、外側からは判断がつきにくいことも多いため、無理に触ったり分解したりせず、販売店・施工店など専門窓口へ相談しましょう。
パナソニック2026年9月1日確認
↩ 本文へ停電が起きたら、可能であれば エアコンの電源プラグを抜くか、エアコン専用のブレーカーがあれば切っておきましょう。
パナソニック2026年9月1日確認
↩ 本文へまた、室外機の周囲に土のうを置いておくと、水が直接入り込むのを防ぎやすくなり、水没のリスクを軽減する対策になります。
パナソニック2026年9月1日確認
↩ 本文へ室外機内部への浸水は、漏電につながります。台風時などにエアコンを使っていて、ブレーカーが落ちた場合は漏電のサインです。
安全に動作しない可能性が高いので、必ずメーカーや修理業者に相談してください。
東京都「マンション防災 〜日頃の備えと地域での連携が必要です〜」2026年9月1日確認
↩ 本文へ在宅避難を継続するためには、各家庭とマンション全体での備えが必要
パナソニック2026年9月1日確認
↩ 本文へ無理に動かすと、配管に負担がかかり、破損してしまうことがあります。
冷媒ガスは触れると凍傷になる可能性があります。