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ベランダや庭に置く家庭用のビニールハウス(簡易温室)は、台風で最も飛びやすい構造物のひとつです。軽い骨組みに大きな面積の被覆を張った形は、風を受けるためにできている形とほとんど同じだからです。
この記事は家庭用の簡易温室・園芸用ビニールハウスを対象にしています。 農業用の大型パイプハウスは構造も投資額も別で、都道府県が公開している技術指導のマニュアルと、地域の普及指導機関の案内に従ってください。
前提:小屋が動く風が吹く
プレハブ小屋が動く風で、パイプとビニールでできた簡易温室が耐えると考える理由はありません。しかも、判断の基準にすべき数字は予報の平均風速だけではありません。34
判断:守るのではなく「飛ばさない形」にする
台風前の選択肢は3つです。上から順に確実です。
| 対応 | 向いている条件 | 残るリスク |
|---|---|---|
| 骨組みごと解体して室内へ | 小型・組み立て式 | 手間と時間。作業は前日までに |
| 被覆を外し、骨組みだけ残す | 骨組みがアンカーで地面に留まっている | 骨組み自体が変形・移動する |
| そのまま補強して残す | 大型で解体できない | 飛べば近隣被害になる。最も危険 |
要点は「被覆を外すと風を受ける面が消える」ことです。ビニールを張ったまま補強しても、面積が変わらない以上、受ける力は変わりません。外して畳んでしまうのがいちばん効きます。
外した被覆は室内へ入れます。屋外に置くと、それ自体が飛来物になります。5
骨組みを残す場合にやること
解体できない場合、次の順で手を入れます。
- 被覆を外す(または上部を大きく開けて風を抜く)
- 地面へのアンカーを確認する。ペグが浅い・数が足りないなら打ち増す
- 筋交いを入れる。四隅の対角に1本ずつ入れるだけで、平行四辺形に潰れる動きが止まります
- 中の物を出す。鉢・支柱・肥料袋は、飛べば飛来物になります
- 扉と窓を閉めて留める。中に風が入ると、内側から押し上げる力が働きます
固定の考え方そのものは物置と共通です。詳しくは物置は台風で飛ぶのかにまとめています。
「どれくらいの風に耐えるか」は地域で違う
屋外の構造物の強度は、地域ごとの基準風速で考えます。カーポートの解説が分かりやすい形で示しています。8
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YKK AP株式会社(メーカー公式。第三者による検証データではない)「カーポートに必要な耐風圧強度・耐積雪性能」(「日本国内では、過去の台風記録などに基づき、地域ごとに「基準風速(V0)」が定められています。カーポートには、その風速に対してどれだけ耐えられるかの目安(耐風圧強度)があります。」)
家庭用の簡易温室に、この水準の耐風性能が想定されていることはまずありません。「うちは大丈夫だった」という過去の実績は、次の台風の根拠になりません。 カーポートの考え方はカーポートの台風対策にまとめています。
飛んだあとに何が起きるか
簡易温室が飛ぶと、被害は自宅の外に出ます。
- 隣家の窓・外壁・車を直撃する
- 道路に出て通行の妨げになる
- 電線に絡む
自分の持ち物を失うだけでは終わりません。近隣に被害を出す側になることが、この構造物のいちばんの問題です。
被害を受ける側の備えとしては、窓の飛散対策が効きます。テープの用途は仮留めと窓周りの両方です。
窓側の対策は雨戸もシャッターもない窓を台風から守ると窓ガラスの飛散防止フィルムにまとめています。
作業のタイミング
この段階では、屋外での解体作業は行いません。被覆を外す作業は前日までに終わらせます。当日の風の中で大きなビニールを扱うのは、あおられて転倒する動きにつながります。時間順の段取りは台風の前日から半日前にやることリストを参照してください。9
まとめ
- 家庭用の簡易温室は、プレハブ小屋が動く風で確実に動く
- 補強より「被覆を外して受ける面を消す」ほうが効く
- 外した被覆は室内へ。屋外に置けばそれ自体が飛来物になる
- 骨組みを残す場合は、アンカー・筋交い・中身の撤去・扉の固定の4点
- 予報の平均風速だけで判断しない。瞬間風速は1.5倍以上になることがある
- 飛べば近隣被害になる。自宅の損害だけの問題ではない
- 作業は前日まで。当日の強風下で大きな被覆は扱わない
庭やベランダの他の設備はラティスの台風対策、目隠しフェンスは台風に強いかにまとめています。
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
気象庁「風の強さと吹き方(表)」2026年8月19日確認
↩ 本文へ固定されていないプレハブ小屋が移動、転倒する。
気象庁「風の強さと吹き方(表)」2026年8月19日確認
↩ 本文へ看板やトタン板が外れ始める。
気象庁「風の強さと吹き方(表)」2026年8月19日確認
↩ 本文へ風の吹き方は絶えず強弱の変動があり、瞬間風速は平均風速の1.5倍程度になることが多いですが、大気の状態が不安定な場合等は3倍以上になることがあります。
気象庁「風の強さと吹き方(表)」2026年8月19日確認
↩ 本文へ平均風速は10分間の平均、瞬間風速は3秒間の平均です。
気象庁「自分で行う災害への備え」2026年9月1日確認
↩ 本文へ風で飛ばされそうな物は飛ばないよう固定したり、家の中へ格納する。
株式会社淀川製鋼所(ヨド物置。メーカー公式。第三者による検証データではない)「安全に関するご注意」2026年8月28日確認
↩ 本文へ風が吹き込まないように、扉を閉めてカギをかけてください。
株式会社淀川製鋼所(ヨド物置。メーカー公式。第三者による検証データではない)「安全に関するご注意」2026年8月28日確認
↩ 本文へアンカー工事等の転倒防止工事を必ず行ってください。アンカー工事は組立説明書に記載されている規定量を守り施工してください。
YKK AP株式会社(メーカー公式。第三者による検証データではない)「カーポートに必要な耐風圧強度・耐積雪性能」2026年8月28日確認
↩ 本文へ基準風速は建設省(現国土交通省)告示第145号で定められたもので、その地域における過去の台風の記録に基づく風害の程度その他の風の性状に応じて30m/s~46m/sまでの範囲内において国土交通大臣が定める風速
気象庁「風の強さと吹き方(表)」2026年8月19日確認
↩ 本文へ風に向かって歩けなくなり、転倒する人も出る。