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まず、会社が何を備えているかを前提にする
デスクの備えを考える前に、会社側の義務を知っておくと、個人で買う物が絞れます。東京都には条例があります。1
つまり水と食料は会社側が3日分用意している想定です。個人でここに重ねて備えるより、会社が用意しない物に予算と引き出しの空間を割くほうが効率的です。
同時に、災害時にすぐ帰らない前提も置かれています。2
デスクの備えは「帰るための道具」ではなく、会社に3日とどまるための道具として設計します。
まず総務に確認することは3つです。
- 備蓄品は何が、どこに、何人分あるか
- 自分の座席から備蓄場所までの経路
- 女性用品・アレルギー対応・常備薬の扱いがあるか
会社が用意しないものが、個人の備え
会社の備蓄は「人数×3日分の水と食料」が中心で、個人差のある物までは行き届きません。ここが個人で置く範囲です。
優先度1:自分にしか用意できないもの
- 常備薬・持病の薬(1週間分。処方薬は主治医と相談のうえ)
- 眼鏡の予備・コンタクトの替えと保存液
- お薬手帳のコピー、健康保険証のコピー
- アレルギー対応の食品(会社の備蓄が食べられない場合)
- 生理用品(会社の備蓄にない、またはサイズが合わない場合)
このカテゴリは、なくても代用が効きません。最優先で、最初に入れます。
優先度2:動くための道具
- 歩ける靴(スニーカー。デスク下に置く)
- ヘッドライトまたは小型ライト
- ホイッスル
- モバイルバッテリーと自分の端末のケーブル
- 軍手または作業用手袋
停電したビル内では、階段に窓がなく完全に暗くなる場合があります。手が空く明かりは、手すりをつかみながら降りるために要ります。
ホイッスルは、閉じ込められた場合に声を温存するための道具です。大声を出し続けることは体力を消耗します。
優先度3:3日過ごすための快適性
- 歯ブラシ、ボディシート、ドライシャンプー
- アイマスク、耳栓
- 上着かひざ掛け(空調が止まると室温が下がります)
- 現金(小銭を含む)
- 携帯トイレ 2〜3回分
耳栓とアイマスクは軽視されがちですが、オフィスの床で眠る前提だと効きます。
引き出し1段に収める
全部そろえようとすると入りません。持ち出す前提の重さにも目安があります。3
デスクの備えはこれよりずっと軽くします。歩いて帰る判断になったとき、実際に背負えるかが基準です。入れる順番は次のとおりです。
- 薬・眼鏡・保険証のコピー(かさばらないので必ず入る)
- ライト・ホイッスル・バッテリー
- 靴(デスク下。引き出しには入れない)
- 衛生用品
- 食べ物は、会社の備蓄にないもの(自分のアレルギー対応分)だけ
靴だけはデスク下に置きます。引き出しに入れると場所を食い、いざというとき履き替えにくくなります。
「帰る」判断は最後に
条例が一斉帰宅の抑制を求めているとおり、発災直後に歩いて帰る判断は推奨されていません。とどまることが前提です。
やむを得ず移動する場合の支援は用意されています。4
提供されるのは水道水・トイレ・情報です。食料は含まれません。この点を踏まえると、デスクに置く行動食は「移動中の分」として少量あれば足ります。
支援場所も決まっています。5
通勤経路上のどこにあるかを、平時に地図で見ておくと判断が速くなります。
半年に1回やること
デスクの備えは、置いたまま忘れられがちです。人事異動や座席替えのタイミングに合わせると続きます。
- 薬と食品の期限を見る
- ライトを点けてみる。電池の液漏れを見る
- モバイルバッテリーを充電する
- 靴のサイズが今も合うか履いてみる
- 家族の連絡方法を確認し直す
まとめ
- 会社は水と食料を3日分備える前提。個人はそこに重ねない
- 個人が置くのは「自分にしか用意できない物」から
- 薬・眼鏡・保険証のコピーが最優先
- 次に、動くための道具(靴・明かり・ホイッスル・バッテリー)
- 靴だけはデスク下。引き出しには入れない
- 発災直後に歩いて帰る判断はしない。とどまる前提で設計する
- 帰宅支援ステーションで得られるのは水道水・トイレ・情報。食料はない
- 半年に1回、期限と動作を確認する
職場全体の備えは職場の防災と帰宅困難者対策、歩いて帰る場合の準備は徒歩帰宅の準備、明かりの選び方は防災にヘッドライトは必要か、ホイッスルは防災ホイッスルの選び方を参照してください。
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
東京都「東京都帰宅困難者対策条例」2026年8月2日確認
↩ 本文へ第七条第2項で従業者の三日分の飲料水、食糧その他災害時における必要な物資を備蓄するよう努めなければならないとされている
東京都「東京都帰宅困難者対策条例」2026年8月2日確認
↩ 本文へ第七条第1項で事業者は従業者が一斉に帰宅することの抑制に努めなければならないとされている
神奈川県くらし安全防災局「非常持出品の準備(重さの目安)」2026年8月9日確認
↩ 本文へリュックなどに入れる重さの目安は、男性で15キロ、女性で10キロ程度です
東京都「東京都防災ホームページ「帰宅困難者に対する支援」」2026年8月2日確認
↩ 本文へ災害時帰宅支援ステーションでは、水道水・トイレ・テレビ及びラジオからの災害情報の提供を行うこととしています
東京都「東京都防災ホームページ「帰宅困難者に対する支援」」2026年8月2日確認
↩ 本文へ島しょを除く全都立学校及び東京武道館を災害時帰宅支援ステーションとして位置づけています