トイレ

マンホールトイレとは?仕組みと使い方、避難所で使えるまでの流れ

根拠: 国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部「「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン」を策定しました」(2026年8月10日確認) ほか5件(記事末に一覧)

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避難所のトイレ対策を調べると出てくるのが「マンホールトイレ」です。名前は聞くけれど、実物を見たことがある人は多くありません。

マンホールトイレは、下水道のマンホールの上に便座とテントを設置して使う災害用トイレです。国土交通省は「マンホールトイレは、災害時においても日常使用しているトイレに近い環境を迅速に確保できるという特徴があり」と説明しています(国土交通省「「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン」を策定しました」)。

日常のトイレに近い、というのがポイントです。汚物をその場に溜めず下水道側へ流せるため、携帯トイレのように使用済みの袋が積み上がりません。ただし、避難所に着いた瞬間から使えるものではありません。この記事では仕組みと、使えるようになるまでの流れを整理します。

仕組み:下水道の上に直接置く

マンホールトイレの組み立て方 学校の校庭などに埋設され、平時は蓋がされている専用マンホールの蓋を外し、洋式が主流の便座を上に載せ、目隠しと風雨よけになるテントを設ける。 3 上部のテント 目隠しと風雨よけ 2 便座 蓋を外して上に載せる 洋式が主流 1 専用のマンホール 平時は蓋がされている 学校の校庭などに埋設
専用マンホールに便座と目隠し用テントを設置

一般的なマンホールトイレは、次の3つの部品でできています。

  1. 専用のマンホール(平時は蓋がされている。学校の校庭などに埋設)
  2. 便座(蓋を外して上に載せる。洋式が主流)
  3. 上部のテント(目隠しと風雨よけ)

平時は地面にマンホールの蓋があるだけなので、校庭や公園を見ても分かりません。災害時に蓋を開け、便座とテントを組み立てて立ち上げます。

汚物は下水道管に流れます。水は近くの貯留槽や、給水された水をバケツで流す方式が使われます。

「使えるまで」に必要なもの

ここが誤解されやすい部分です。マンホールトイレは自動で立ち上がりません。

つまり、避難所を開設する人が到着し、資材を出し、組み立てて、はじめて使用可能になります。避難した直後の数時間で使えるとは限りません。

内閣府も、避難所の設備は平時からの訓練が前提だとしています。「実際に地域住民に使用してもらうことも含め、平時から、パーティションや、段ボールベッド、エアーベッド等簡易ベッドの設置の訓練を行い、災害発生時には速やかに対応すること」という記述があります(内閣府(防災担当)「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針(令和6年12月改定)」)。設営が要る設備は、訓練していない地域ほど立ち上がりが遅くなります。

何基あるのか

数の目安は決まっています。内閣府は「避難発生当初は避難者50人当たり1基、避難が長期化する場合は20人当たり1基を目安にトイレを確保する」としています(内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン(令和6年12月改定)」)。

そして使用回数の目安として「トイレの平均的な使用回数は1日5回」が示されています(内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン(令和6年12月改定)」)。

50人に1基、1人1日5回。単純計算で1基あたり1日250回です。行列ができる前提の数字だと分かります。

車いすで使えるものはあるか

学校を避難所とする場合、バリアフリー対応が課題になります。文部科学省は「屋内運動場に車いす使用者用便房等障害のある人が利用できる便所がない学校については、災害時に避難所となることを想定し、校舎等の隣接する建物の便所と共有して使用できるようにしたり、障害のある人も使用できるマンホールトイレ等の災害時用トイレの設置を計画したりするなどの対策も重要である。」としています(文部科学省「【ポイント解説】バリアフリートイレ」)。

車いす対応の広いテントを備えている自治体もありますが、全ての避難所にあるとは限りません。介助が必要な家族がいる場合は、車いすの人のトイレ対応も合わせて確認しておいてください。

使い方の注意点

実際に使う場面での注意は次のとおりです。

3つ目は見落とされがちです。夜間の避難所で照明が足りない状況は珍しくありません。テント内は特に暗くなるため、両手が空くヘッドライトか、置ける小型ランタンを自分の荷物に入れておきます。

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避難所に持っていく荷物の全体像は避難所の持ち物 最低限リストにまとめています。

自宅にいる場合は関係ないのか

在宅避難を選ぶ場合、マンホールトイレは基本的に使えません。自宅のトイレを使うことになりますが、ここには別の危険があります。

東京都下水道局は「配管などが破損していると下水が詰まって汚水が逆流したり、破損したところから噴出することがあります」「特に集合住宅の場合は、下の階のお宅へ汚水が逆流する場合があります」と注意を促しています(東京都下水道局「災害時のトイレ対策について」)。

さらに「大震災発生後に下水道の使用制限が実施されている地域においては、使用を控えるようお願いします」ともされています(東京都下水道局「災害時のトイレ対策について」)。マンションの場合の判断はマンションの排水管とトイレ再開で扱っています。

結論:併用が前提

マンホールトイレは、避難所生活が長引くほど効いてくる設備です。一方で、立ち上がるまでには人手と時間がかかります。

発災直後の数時間から数日は、自分で持っている携帯トイレで乗り切る。この前提で家庭側の備蓄を組んでおくのが現実的です。神奈川県は「1日の排泄の平均回数は1人5回と言われています。携帯トイレは最低3日分、可能であれば7日分を備蓄しましょう」としています(神奈川県「携帯トイレを備蓄しましょう」)。

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携帯トイレと簡易トイレの違いが分かりにくい場合は携帯トイレと簡易トイレの違いを先に読んでください。目隠しの確保が課題になる場合は簡易トイレ用プライバシーテントも参考になります。