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大雨のときにキキクルを開いて、自分の家のあたりが黄色や赤に染まっているのを見た。それで、いま避難すべきなのかどうかが分からない——という止まり方をした経験はないでしょうか。
キキクルは色を眺める地図ではなく、「誰が、どの色で動き始めるか」を事前に決めておくための道具です。気象庁は色と警戒レベルの対応も、動き出す色も、文章で示しています。この記事はその線引きを整理します。
キキクルは3種類ある。まず自分が見るものを決める
キキクルは災害の種類ごとに分かれています。同じ雨でも、危ないものが違えば見る地図も違います。
土砂災害についてはこう定義されています。1
浸水害はこちらです。2
そして洪水は、川の水位の情報と組み合わせて見ることになります。3
自宅がどれに当たるかは、雨の日に調べるものではありません。先にハザードマップの見方で自宅の位置を確認し、土砂・浸水・洪水のどれを主に見るかを決めておきます。斜面のそばなら土砂、低地や地下室があるなら浸水、川沿いなら洪水が主になります。
色と警戒レベルの対応
土砂キキクルは、色ごとに警戒レベル相当が明示されています。ここが判断の芯になります。4567
整理すると次のようになります。
| 色 | 警戒レベル相当 | 見ている時点 |
|---|---|---|
| 注意(黄) | 2相当 | 6時間先までの予測 |
| 警戒(赤) | 3相当 | 3時間先の予測 |
| 危険(紫) | 4相当 | 2時間先までの予測、または実況 |
| 災害切迫(黒) | 5相当 | 実況 |
黄・赤は「予測」、黒は「実況」という違いに注目してください。赤の段階では、まだ実際にその基準に達していない可能性があります。逆に言えば、赤は動ける時間が残っている段階です。
レベル2、つまり**黄色の段階でやることは「避難」ではなく「確認」**です。ここで経路と行き先を見ておくと、赤や紫になったときに考えずに動けます。
避難情報の全体像は警戒レベルの意味に整理しています。
誰が、どの色で動くか
いちばん重要な一文がこれです。
- 気象庁「土砂キキクル」(「高齢者等の方は遅くとも「警戒」(赤)が出現した時点で、一般の方は遅くとも「危険」(紫)が出現した時点で、速やかに危険な場所からの避難を開始することが重要です。」)
**赤と紫で、動く人が違います。**家族に高齢者や、移動に時間がかかる人がいる場合、その人の出発は赤の時点です。全員が紫まで待つ設計にしていると、いちばん時間がかかる人が最も遅く出ることになります。
そこで、雨の前に次の形で決めておきます。
- 赤で出る人を決める(高齢者、乳幼児連れ、通院中の人、車いす利用者など)
- その人を誰が連れて行くかを決める
- 紫で残りの全員が出る
- 行き先と経路は、黄色の段階で確認しておく
要支援の家族がいる場合の段取りは避難行動要支援者名簿と個別避難計画に整理しています。
黒はもう避難のための色ではありません。
- 気象庁「土砂キキクル」(「「災害切迫」(黒)が出現した場合、土砂災害警戒区域等では、命に危険が及ぶような土砂災害が切迫しているか、すでに発生している可能性が高い状況となります。」)
黒で外に出る前提の計画は立てられません。黒は「屋内で少しでも安全な場所へ移る」段階として扱います。
浸水キキクルは、色ごとに起きることが具体的
浸水のほうは、色に対応する現象が書かれているので、外を見て照合できます。
- 気象庁「浸水キキクル」(「「浸水キキクル」において「注意」(黄)が出現した場合には、周囲より低い場所で側溝や下水が溢れて道路が冠水し、住宅の地下室や道路のアンダーパスに水が流れ込むおそれがあります。」)
- 気象庁「浸水キキクル」(「「警戒」(赤)が出現した場合には、側溝や下水が溢れて道路がいつ冠水してもおかしくない状況です。」)
- 気象庁「浸水キキクル」(「「危険」(紫)が出現した場合は、重大な浸水害がいつ発生してもおかしくない非常に危険な状況です。」)
黄色の時点でアンダーパスと地下が名指しされている点は、通勤経路の判断にそのまま使えます。道路が冠水してから引き返す判断は難しいので、黄色で経路を変えるほうが確実です。
地下空間の危険については地下街の浸水対策にまとめています。
表示の更新のしかたを知っておく
色がすぐ変わらないのには理由があります。10
過去30分間の最大が出ているので、雨が弱まっても色はすぐには戻りません。逆に、色が戻ったことを「安全になった」の合図として使うのは向いていません。避難をやめる判断に使う指標ではない、と考えておくほうが安全側です。
また、キキクルは他の情報と組み合わせて使うことが前提です。線状降水帯の情報についても、気象庁はキキクルを軸にするよう書いています。11
見られなくなる前提で用意しておく
キキクルはスマートフォンで見る情報です。大雨のさなかに停電した場合、まず問題になるのは端末の電池です。避難の判断をスマートフォン1台に預けている家庭ほど、ここが弱点になります。
通信が使えない場合に備えて、ラジオなど別系統の情報源も用意しておくと、判断材料が途切れません。避難のときに何を持って出るかは一次持ち出しと二次持ち出しの分け方に整理しています。
まとめ
- キキクルは土砂・浸水・洪水の3種類。自宅がどれに当たるかは晴れている日に決めておく
- 黄=レベル2相当、赤=3相当、紫=4相当、黒=5相当
- 黄・赤は予測、黒は実況。赤の段階ではまだ動ける時間が残っている
- 気象庁は「高齢者等は赤、一般は紫」で避難開始と示している。家族内で出る順を分ける
- 黄色でやることは避難ではなく、経路と行き先の確認
- 黒は避難のための色ではなく、屋内で安全な場所へ移る段階
- 表示は過去30分間の最大危険度。色が戻っても安全の合図としては使わない
- 停電と電池切れでキキクルは見られなくなる。電源と別系統の情報源を用意しておく
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
気象庁「土砂キキクル」2026年8月24日確認
↩ 本文へ土砂キキクルは、大雨による土砂災害発生の危険度の高まりを、地図上で1km四方の領域(メッシュ)ごとに5段階に色分けして示す情報です。
気象庁「浸水キキクル」2026年8月24日確認
↩ 本文へ浸水キキクルは、短時間強雨による浸水害発生の危険度の高まりを、地図上で1km四方の領域ごとに5段階で色分けして示す情報です。
気象庁「指定河川洪水予報」2026年8月19日確認
↩ 本文へ指定河川洪水予報が発表された場合には、市町村からの避難指示(警戒レベル4)等に留意し、適切な避難行動を取ってください。
気象庁「土砂キキクル」2026年8月24日確認
↩ 本文へ注意(黄)・・・実況値又は6時間先までの予測値がレベル2土砂災害注意報の基準以上となる場合(警戒レベル2相当)。
気象庁「土砂キキクル」2026年8月24日確認
↩ 本文へ警戒(赤)・・・3時間先の予測値がレベル4土砂災害危険警報の基準以上となる場合(警戒レベル3相当)。
気象庁「土砂キキクル」2026年8月24日確認
↩ 本文へ危険(紫)・・・実況値又は2時間先までの予測値がレベル4土砂災害危険警報の基準以上となる場合(警戒レベル4相当)。
気象庁「土砂キキクル」2026年8月24日確認
↩ 本文へ災害切迫(黒)・・・実況値がレベル5土砂災害特別警報の基準値以上となった場合(警戒レベル5相当)。
内閣官房「防災気象情報と警戒レベル」2026年7月24日確認
↩ 本文へ警戒レベルは1から5まであり、レベル4までに必ず避難することとされている
内閣官房「防災気象情報と警戒レベル」2026年7月24日確認
↩ 本文へレベル2の段階でハザードマップ等により避難行動を確認することとされている
気象庁「浸水キキクル」2026年8月24日確認
↩ 本文へ防災対応の判断に役立てていただくために、危険度が頻繁に変化することがないよう、過去30分間の最大危険度を表示します。
気象庁「線状降水帯に関する情報」2026年8月15日確認
↩ 本文へ発生情報を待つことなく、警報等や災害発生の危険度の高まりを示すキキクルを活用いただくことが極めて重要です