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宿泊先の火災が自宅と違うのは、間取りを知らない建物で、寝ている状態から動き出すことになる点です。しかも廊下は煙で見えません。当日にできる準備はチェックイン直後の3分にほぼ集約されるので、そこから整理します。
こわいのは炎ではなく煙
消防庁の教材が、優先順位をはっきり書いています。1
客室にタオルがあり、洗面台が近い、というのはホテルでは条件がそろっています。部屋を出る前にタオルを濡らす数秒は確保できる、と考えておきます。
階段を使う。エレベーターは使わない
ホテルはエレベーターで移動する建物なので、避難階段の位置を知らないまま泊まっていることがほとんどです。ここが下見の対象になります。45
情報は自分で判断せず放送に合わせる
出火階と自室の位置関係で、下りるべきか階上へ移るべきかが変わります。建物の構造を知っているのは施設側なので、放送を聞き取れる状態にしておくことが優先されます。テレビや空調の音を切る、という判断が最初の動作になります。6
チェックイン後3分でやること
消防庁は、習慣として身につける対象を明示しています。7
具体的な手順に落とすと、次の4つになります。
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1 | 客室ドアの内側にある避難経路図を見る |
| 2 | 廊下に出て、左右どちらの階段が近いかを歩いて確認する |
| 3 | 階段までのドアの数を数えておく(煙で見えないときの手がかりになる) |
| 4 | 部屋のカードキーと靴を、暗闇でも取れる位置に置く |
3番目が実務的に効きます。煙で視界がないなかでは、壁づたいに進んでドアの数を数えるのが位置の手がかりになります。
夜間に停電が重なると廊下は完全に暗くなります。両手が空く小さな明かりを枕元に置いておくと、階段までの移動が現実的になります。
選び方は防災用ヘッドライトは必要か、普段持ち歩く小物の中身は防災ポーチの中身にまとめました。
建物を選ぶ側の手がかり「適マーク」
予約の段階で使える情報もあります。
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総務省消防庁「建物の防火安全情報 表示制度「宿泊施設事業者の方へ」」(「「適マーク制度」は、宿泊施設からの申請に基づいて、消防機関が審査した結果、消防法令のほか、重要な建築構造等に関する基準に適合していると認められた建物に対し、「適マーク」を交付する制度です。」)
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総務省消防庁「建物の防火安全情報 表示制度「宿泊施設事業者の方へ」」(「宿泊施設が「適マーク」を掲出することにより、建物の安全・安心に関する情報を利用者に提供することが可能となります。」)
銀と金の2種類があります。
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総務省消防庁「建物の防火安全情報 表示制度「宿泊施設事業者の方へ」」(「消防機関が審査した結果、表示基準に適合していると認められた場合は、「適マーク(銀)」が交付されます。」)
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総務省消防庁「建物の防火安全情報 表示制度「宿泊施設事業者の方へ」」(「3年間継続して表示基準に適合していると認められた場合は、「適マーク(金)」が交付されます。」)
対象の範囲には条件があります。
- 総務省消防庁「建物の防火安全情報 表示制度「宿泊施設事業者の方へ」」(「「適マーク制度」の対象となるのは、収容人員が30人以上で、地階を除く階数が3階以上の宿泊施設です。」)
申請に基づく制度なので、マークがないことがそのまま基準に適合していない証拠になるわけではありません。小規模な宿は対象外です。あるかないかを見るというより、掲出されていれば確認済みの目安になる、という使い方になります。
部屋から出られない場合
廊下がすでに煙で埋まっているときは、無理に出るより部屋にとどまる判断が必要になることがあります。ドアの下の隙間を濡れたタオルでふさぎ、窓際で位置を知らせます。声は続きませんが、笛は消耗しません。
笛の選び方は防災用ホイッスルの選び方にまとめました。
自分で消そうとする範囲
出火直後の小さな火なら消火器が届きますが、届く範囲には限りがあります。
- 政府広報オンライン(内閣府政府広報室・消防庁)「住宅火災からいのちを守る10のポイント。「逃げ遅れ」を防ぐために。」(「令和5年(2023年)の住宅火災件数は1万2,112件、死者数は1,023人で、そのうち約75%(762人)が65歳以上の高齢者であり、死者の約半数は「逃げ遅れ」が原因である」)
住宅の統計ですが、死因の約半数が逃げ遅れという構図は宿泊施設でも変わりません。消火に時間を使うほど逃げ遅れ側に寄ります。判断の線引きは初期消火の限界、使い方は消火器の使い方に整理しています。
外に出たあとは、同行者と合流できないことがあります。集合場所の決め方は家族の安否確認ルールを参照してください。
まとめ
- 火災で先に効いてくるのは炎ではなく煙
- 煙のなかは姿勢を低くし、濡らしたタオルやハンカチで口をふさぐ
- エレベーターは使わず、避難階段を使う
- 非常放送や係員の指示に合わせる。まずテレビや空調の音を切る
- チェックイン直後に避難経路図を見て、階段まで実際に歩く
- 階段までのドアの数を数えておくと、煙で見えないときの手がかりになる
- 適マークは申請に基づく制度で、収容人員30人以上・3階以上が対象
- 出られないときはドアの隙間をふさぎ、笛で位置を知らせる
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
総務省消防庁「防災危機管理eカレッジ「7.火災からの避難」」2026年8月19日確認
↩ 本文へ火災でこわいのは煙による窒息死などです。
総務省消防庁「防災危機管理eカレッジ「7.火災からの避難」」2026年8月19日確認
↩ 本文へ煙の中を逃げるときは、できるだけ姿勢を低くします。
総務省消防庁「防災危機管理eカレッジ「7.火災からの避難」」2026年8月19日確認
↩ 本文へぬれタオルやハンカチで口をふさいで、煙を吸い込まないようにします。
総務省消防庁「防災危機管理eカレッジ「7.火災からの避難」」2026年8月19日確認
↩ 本文へエレベーターは危険です。
総務省消防庁「防災危機管理eカレッジ「7.火災からの避難」」2026年8月19日確認
↩ 本文へデパート、旅館、ホテルなどで火災にあったら、避難階段を使用して避難しましょう。
総務省消防庁「防災危機管理eカレッジ「7.火災からの避難」」2026年8月19日確認
↩ 本文へ火災が起きたときは、非常放送や係員の指示を聞いて落ち着いて行動しましょう。
総務省消防庁「防災危機管理eカレッジ「7.火災からの避難」」2026年8月19日確認
↩ 本文へ非常口や避難経路を確認する習慣をつけましょう。