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新聞紙が防災で使えるのは「かさばらないまま備えられる」から
新聞紙は、断熱・吸水・成形のいずれもある程度こなせる素材です。しかも家にあるものを畳んで置いておくだけなので、備蓄スペースを取りません。
一方で、専用品の代わりになる場面と、あくまで急場しのぎにとどまる場面があります。この境目を子どもと一緒に確認しておくのが、工作そのものより大事な部分です。以下、用途ごとに作り方と限界を並べます。
1. 新聞紙スリッパ(足を守る)
地震のあと、室内にはガラスや陶器の破片が散ります。内閣府の広報資料は、この状況を具体的に書いています。1
新聞紙スリッパは、この「素足で歩けない」状態をしのぐためのものです。
作り方の要点
- 新聞紙を見開き1枚使い、縦半分に折る
- さらに縦半分に折って細長くし、足の長さより長い帯にする
- 帯の両端を足の甲の位置で内側に折り込み、足を入れる袋状の部分を作る
- かかと側を折り返して足に沿わせ、抜けないよう調整する
- 数枚重ねて厚みを出す
限界: 紙なので、踏み抜きを防ぐ性能は靴底と比べられません。割れたガラスの上を歩く用途には向かないと考えてください。寝室の枕元には、新聞紙とは別に靴かスリッパを置いておくのが本筋です。踏み抜き対策の考え方は防災スリッパで踏み抜きを防ぐで整理しています。
2. 新聞紙食器(洗い物を減らす)
断水中は、食器を洗う水が惜しくなります。東京都水道局は節水の方法として次を挙げています。2
新聞紙で器の形を作り、内側にポリ袋やラップを敷いて使うと、食器そのものを汚さずに済みます。
作り方の要点
- 新聞紙を正方形に切る(見開き1枚から2枚分取れます)
- 三角に折り、左右の角を中心線に向かって折り上げて船形の底を作る
- 上に出た部分を前後それぞれ内側に折り込んで縁にする
- 内側にポリ袋またはラップを広げて敷く
限界: 新聞紙のインクが食品に触れないよう、内側の袋やラップは省略しないでください。熱い汁物を長時間入れる用途にも向きません。ラップを使った食器の扱い全般は断水中に食器を洗わない方法にまとめています。
3. 新聞紙の防寒(体と床のあいだに挟む)
新聞紙をくしゃくしゃに丸めて衣服の内側や靴の中に入れると、空気の層ができます。床に敷いて座布団代わりにする使い方もあります。
公的なガイドラインも、床との間に何かを挟むこと自体を寒さ対策として挙げています。3
限界: 湿ると断熱の働きが落ちます。汗や雨で濡れたら交換する前提で、枚数を多めに見ておきます。停電中の暖の取り方全般は防災の冬支度|停電中に暖を取る方法を参照してください。
4. 簡易トイレの吸収材として
携帯トイレは、袋の中で水分を安定させる仕組みになっています。内閣府のガイドラインは、その構成を次のように説明しています。4
凝固剤が尽きたとき、細かくちぎった新聞紙を袋に入れて水分を吸わせる方法が使われることがあります。ただし凝固剤のように水分をゲル状に固めるわけではなく、吸い取って分散させるだけです。臭いと漏れの面では専用の凝固剤に及びません。代用材の比較は凝固剤の代用に猫砂は使えるかで扱っています。
練習は「一度作って使ってみる」まで
東京都の防災ブックは、備えた道具について次のように勧めています。5
新聞紙の工作も同じです。折り方を覚えているかより、作ったスリッパで実際に部屋を歩いてみる、作った器で一食分を食べてみるところまでやると、厚みや枚数の感覚が身につきます。
家庭での練習の組み立て方は家族で年1回やる防災訓練にまとめています。
備えておく量の目安
- スリッパ: 1足あたり見開き2〜4枚。家族人数分×2セット
- 食器: 1食あたり2〜3枚。ポリ袋・ラップと必ずセットで
- 防寒: 1人あたり見開き5枚程度から
- 吸収材: 使う想定なら別枠で多めに
新聞を取っていない家庭では、折込チラシや不要な包装紙でも同様の工作ができます。ただし、コーティングされた紙は吸水しにくいため、防寒と成形の用途に限られます。
まとめ
- 新聞紙は断熱・吸水・成形をこなし、備蓄スペースを取らない
- スリッパは素足を避けるためのもので、踏み抜き対策は靴が本筋
- 食器は内側の袋・ラップとセットで使う
- 吸収材としては使えるが、凝固剤のように固めるわけではない
- 折り方を覚えるだけで終わらせず、一度作って使うところまでやる
出典と根拠
本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。
内閣府「広報ぼうさい 特集 家族で防災」2026年8月15日確認
↩ 本文へ例えば、運動靴。割れた窓ガラスや食器が床一面に広がっていたら、素足ではとても歩けません
東京都水道局「節水にご協力を」2026年8月2日確認
↩ 本文へ台所は水を流しっぱなしにしない。食器の汚れを拭いてから洗う
厚生労働省「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」(PDF)2026年8月9日確認
↩ 本文へ床に直接座るのではなく、マットや畳を敷いた上に座ることは、寒さ対策のひとつの方法になります
内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン(令和6年12月改定)」(PDF)2026年7月24日確認
↩ 本文へ既存の洋式便器につけて使用する便袋タイプ。吸水シートや凝固剤で水分を安定化させる
東京都「東京くらし防災(38ページ)」2026年8月3日確認
↩ 本文へ震災が起こることを想定して一度は作り、実際に使ってみましょう