基本

骨折が疑われるときの応急処置|動かさない・固定する・救急車を待つまでの手順

根拠: 東京消防庁「電子学習室「命を救う〜外傷の応急手当〜」骨折に対する応急手当」(2026年8月20日確認) ほか3件(記事末に一覧)

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家の中の転倒、地震で家具が倒れた直後、避難所の暗がり。骨折が疑われる場面は災害時に増えますが、その場にいる人にできることは限られています。目的は治すことではなく、悪化させずに医療へ引き渡すことです。

以下は消防機関が公表している応急手当の要点整理です。文章では手が動くようにならないので、消防署等が実施している救命講習を一度受けることをおすすめします。また、骨折かどうかの診断は医療機関の仕事です。この記事は「疑われるときにどう扱うか」だけを扱います。

手順1:骨折を疑う目印を知る

その場で確定させる必要はありません。疑う目印だけ知っていれば十分です。12

痛み・変形・腫れ。この3つのどれかがあれば、骨折として扱う側に倒します。「たぶん打撲だろう」と決めて動かすほうがリスクが大きいためです。

手順2:動かさない。これが最優先

応急処置と聞くと何かをする方向に意識が向きますが、最初の指示は「しないこと」です。3

やりがちな失敗は3つです。

  1. 「歩けるか試してみよう」と立たせる
  2. 変形している部分を元に戻そうとする
  3. 楽な姿勢にしようとして、痛む側を持ち上げる

いずれも「不用意に動かす」に当たります。安全な場所であれば、その場に留めたまま次の手順へ進みます。

なお、動かさないことより優先される状況が1つだけあります。4

反応や呼吸がない場合は、骨折の手当より心肺蘇生が先です。その手順はAEDの使い方を手順で覚えるにまとめています。

手順3:相手の顔を見ながら固定する

固定は「部位を見る作業」ではなく「人を見る作業」です。5

固定中に顔色が変わる、痛みが強くなるといった変化は、手を止める合図になります。手元だけを見て作業を続けない、という指示だと読めます。

手順4:副子は買わなくていい。家にあるもので足りる

固定に使う副子(添え木)は、専用品でなくてかまいません。67

代用品に求められる条件も明記されています。8

条件は「充分な固さ」と「固定できる長さ」の2つです。長さが足りないものを当てても固定になりません。手近なものを並べると次のようになります。

代用品向く場面注意
雑誌・段ボール前腕など丸めず、平らなまま当てる
杖・傘硬いぶん、当たる面に布を挟む
毛布・座布団体を支える固さは足りないので「支え」に限る

避難所や車中では、身のまわりに硬くて長いものが少なくなります。折りたたみ傘、雑誌、レジャーシートの芯など、何が使えるかを平時に1つ決めておくと迷いません。

手順5:出血を伴う場合は、先に止血する

転倒や落下では、骨折と出血が同時に起きることがあります。910

手当をする側の感染防止も手順に含まれます。1112

手袋が手元になくても、レジ袋があれば手順どおりに動けます。手当のあとの行動まで手順です。13

これらの道具を家のどこに置くかは救急箱の中身は「手当の手順」から決めるに整理しています。

動きを1枚にまとめる

順番やること迷ったときの原則
1痛み・変形・腫れを見るどれか1つあれば骨折として扱う
2動かさない歩かせない・戻そうとしない
3反応と呼吸を確認心肺蘇生が必要なら、そちらを優先
4出血があれば圧迫止血当てたガーゼは外さない
5副子を当てて固定充分な固さと、固定できる長さ
6顔色・表情を見ながら続ける変化があれば手を止める

災害時に特有の事情

救急車がすぐ来ない前提で考える

大きな災害の直後は、通報しても到着まで時間がかかります。固定したあとに「待つ時間」が長くなるため、体温の低下と姿勢の維持が問題になります。毛布や上着で覆い、痛みの少ない姿勢のまま保つことを優先します。

1人で複数を見る場面がある

家族全員が同時に被災することがあります。手が足りないときほど、動かさない・固定するという原則が効きます。固定してあれば、その人から一度離れて別の対応に回れるためです。ひとり親世帯の備え方はひとり親の防災で扱っています。

高齢の家族がいる場合

転倒は日常のなかで起きます。家具の配置や照明の位置で発生率が変わるため、応急処置と同時に、転ばせない側の対策も見ておくと効果が大きくなります。

まとめ

出典と根拠

本文の番号に対応する出典と、判断の根拠にした原文の引用です。確認日は当サイトが原文を照合した日です。

  1. 東京消防庁「電子学習室「命を救う〜外傷の応急手当〜」骨折に対する応急手当」2026年8月20日確認

    損傷部の痛み・変形・腫れ等で判断します。
    ↩ 本文へ
  2. 東京消防庁「消防少年団手引き・ハンドブック(指導者) 第11章 救急」2026年8月20日確認

    手足が変形している場合には、骨折が疑われます。この場合は、変形した手足を動かさず、安静に保ちます。
    ↩ 本文へ
  3. 東京消防庁「電子学習室「命を救う〜外傷の応急手当〜」骨折に対する応急手当」2026年8月20日確認

    不用意に移動したり、動かしたりしないようにします。
    ↩ 本文へ
  4. 東京消防庁(同上)2026年8月20日確認

    心肺蘇生が必要な場合は、心肺蘇生を優先します。
    ↩ 本文へ
  5. 東京消防庁「電子学習室「命を救う〜外傷の応急手当〜」骨折に対する応急手当」2026年8月20日確認

    顔色・表情を見ながら、固定処置を行います。
    ↩ 本文へ
  6. 総務省消防庁「防災危機管理eカレッジ「18.副子固定法」」2026年8月20日確認

    副子固定法は、骨折・捻挫などの部位を安静に保つため、副子を当てて固定する方法です。
    ↩ 本文へ
  7. 東京消防庁「電子学習室「命を救う〜外傷の応急手当〜」骨折に対する応急手当」2026年8月20日確認

    副子がない場合でも、雑誌・杖・傘・毛布等で代用することができます。
    ↩ 本文へ
  8. 総務省消防庁(同上)2026年8月20日確認

    平板やアルミなど既製の副子がない場合には、雑誌など充分な固さと固定できる長さのものがあれば、応急副子として利用することができます。
    ↩ 本文へ
  9. 東京消防庁「消防少年団手引き・ハンドブック(指導者) 第11章 救急」2026年8月20日確認

    出血部位を確認したら、清潔なガーゼ、ハンカチ、タオルなどを重ねて出血部分に当て、その上を圧迫して止血をします。
    ↩ 本文へ
  10. 東京消防庁(同上)2026年8月20日確認

    この際、はじめに当てたガーゼやタオルなどは外さないでください。
    ↩ 本文へ
  11. 東京消防庁(同上)2026年8月20日確認

    止血の際には、感染防止のため救助者が傷病者の血液に触れないように、ビニール手袋やビニール袋を使用してください。
    ↩ 本文へ
  12. 東京消防庁「電子学習室「命を救う〜外傷の応急手当〜」感染防止」2026年8月20日確認

    ビニール袋でも代用できます。
    ↩ 本文へ
  13. 東京消防庁(同上)2026年8月20日確認

    応急手当を実施した後は、十分に手洗い・うがいを実施しましょう。
    ↩ 本文へ